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匂いの喪失障害「アノスミア」:なぜか、左利きの女性を襲う! (BBC-Health, November 7, 2019)

Woman smelling lavender

 コーヒーは、香りが命だ。また、バラの香りは、その美しさを一層引き立てる。その人間の臭覚は次のように説明される。
 匂いの化学成分が鼻腔内に入ると、その内部に張り付いた「nerve endings (神経末端)」を刺激する。すると神経細胞は、その情報を電気信号に変えて脳内の「olfactory bulbs (嗅球)」に伝える。これが、匂いを感じる仕組みだ。

 この説明によると、何らかの原因で嗅球が損失している人は、臭覚に異常を来すことになる。これが「anosmia (臭覚障害/アノスミア)」だ。

 「The Weizmann Institute of Science (ワイツマン科学研究所)」(Israel)のNoam Sobel教授らの研究グループは、「The Human Connectome Project」の脳スキャンデータ(1,113人分)を調査し、「anosmia (臭覚障害)」には男女間に明確な違いがあることを突き止めた。つまり、男性には認められず、女性だけ、しかもなぜか左利きの女性に4%以上の確率で発生していた。これでは、まったくの「gender harassment (ジェンダー・ハラスメント)」ではないか。

 しかし、脳スキャン画像を解析し、研究を進めて行くと、さらに奇妙な事実を発見する。脳内にあるべきはずの「嗅球 (olfactory bulbs)」をまったく欠いている女性が、「鋭い嗅覚 (cracking sense of smell)」を備えていたのだ。
 これは、医学的にどのように説明すべきか。

 『嗅球には、匂いを識別する働きよりも、匂いの発する場所を特定する働きがあるのではないか』、Sobel教授の直感的な考えだ。

 ただし、Manchester大学の Matthew Cobb教授の考えは、別だ。人間の脳は機能の「可塑性 (plasticity)」を有する。現に「cortex (大脳皮質)」や「cerebellum (小脳)」をほとんど失っている人が、普通に暮らしている例もある。したがって、嗅球を失っても、脳の一部が、その役目を担う働きをしている可能性があるというのだ。

おわりに:Cobb教授の説が正しいとすれば、脳は不思議な世界に満ちている。人工知能AIが発達したとは言え、回路の破損箇所を自力で修繕する、または他の部位で代用するまでには、まだまだ気の遠くなるような時間が必要だろう。これほど高度に進化した脳が、どうして、悪事を働かせるのか、これまた不思議だ。
                                                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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