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ゴリラのマラリア原虫:約5万年前、ヒト属を襲うために遺伝子変異! (BBC-Health, October 15, 2019)

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 マラリア (malaria)は、かってヒト属 (Homo)に感染することはなかった。マラリアは、ハマダラカによって血液中に「マラリア原虫 (malaria parasites)」が媒介され、発症する感染症
 現在、世界人口 (world's population)の約 5割がマラリア感染に脅かされ、年間およそ200万人が死亡している。主な流行地域は「sub-Sahara Africa (サハラ以南アフリカ)」で、マラリアの犠牲者の約90% は、この地域に住む、抵抗力の弱い年少の子ども達だ。

 マラリア原虫の種は多い。しかし、ヒト属に感染するマラリア原虫は 4種のみ。その中でも、猛威を振るい、人類にとって最大の敵とされるのは「Plasmodium falciparum (熱帯熱マラリア原虫)」。

 なぜ、いつ、どのようにして、このマラリア原虫がヒト属 (Homo)に取り憑くようになったのか。
 その謎(なぞ)が、UK「The Welcome Sanger Institute」の Dr Gavin Wrightらの研究グループによって解き明かされた。(研究の詳細は医学雑誌「Plos Biology」に発表。)

 Dr Wrightらは、これまで発見されている各種マラリア原虫の遺伝子の歴史的な変遷を調べた。すると、ヒト属に寄生する「Plasmodium falciparum」の DNAコードには、特異な遺伝子rh5があることを発見した。さらに、遺伝子rh5は、もともと、このマラリア原虫になかったことも判明。

 なお、「Plasmodium falciparum」の遺伝子に変化が起きたのは、ヒト属 (Homo)がアフリカ大陸から移動・脱出を開始した約40,000 - 60,000年前の時代だった。この頃に、アフリカ類人猿 (African great apes)の「gorilla (ゴリラ)」が偶然に2種類のマラリア原虫に感染し、マラリア原虫間で遺伝子の混雑・変異が起きた。こうして「Plasmodium falciparum」は、ヒト属の赤血球に潜入するために必要な rh5をまんまと手に入れたのだ。

 遺伝子rh5は「blood stage vaccine candidate (赤血球期マラリア・ワクチン候補)」開発の重要なカギ。Dr Wrightらの発見によって、マラリアのワクチン開発が大いに進展するものと、期待されている。

                                                                            (写真は添付のBBC Newsから引用)

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