ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

恐怖のスーパーバグ真菌「カンジダ・アウリス」:人類を襲う! (BBC-Health, August 17, 2019)

f:id:hiroshinews:20190823052239p:plain

 温泉場の床マットに付着した「水虫 (足白癬)菌  (Trichophyton)」は、目に見えない。運悪く、これを踏みつけてしまうと、どんな「抗真菌薬 (antifungal drugs)」を使用したところで、その真菌は、なかなかしつこく、治療に大変な苦労をする。

 しかし、その水虫よりも、もっとしぶとく、悪辣で悪性のカビ・酵母の仲間が出現し、医療関係者を震撼させている。その感染菌の名は「Candida auris (カンジダ・アウリス)」。ここでは、以下「C. auris」と呼ぶことにする。

 この菌に感染した患者の診断は難しく、しかも治療を間違えると、症状が悪化するという。さらに、「fluconazole (フルコナゾール)」はじめ、これまでの抗真菌薬がまったく効かない、つまり、治療薬に耐性を持ったスーパーバグだ。C. auris感染者の致死率が60%の報告もある。

 C. aurisは「Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital (東京都健康長寿医療センター)」の患者の「ear canal (外耳道)」から発見され、その菌の特性が、2009年、日本細菌学会誌「Microbiology and Immunology」に発表されて 、世界中に、その存在と、その恐怖が知れ渡った。
 The US Center for Disease Control and Prevention (アメリカ疾病予防管理センターCDC)は、院内感染に注意を払うように喚起している。

f:id:hiroshinews:20190823052909p:plain

 C. aurisに感染しても、それが皮膚に取り憑いているだけなら、普通の人には何の症状も現われない。問題なのは、「感染する人」と「感染の部位」によって深刻な状態に陥ることにある。
 以下は、C. aurisが引き起こす代表的な感染症だ。

・bloodstream infection:血流感染症
・respiratory system infection:呼吸器系感染症
・central nervous system infection:中枢神経感染症(髄膜炎)
・internal organs infection:内臓器系感染症
 
 また、C. auris感染拡大の防止に向けた取り組みの第一歩は、以下のような、感染リスクの高い人に注意を払うことにあるという。

・長期入院患者
・養護施設 (老人保健施設)
・免疫不全患者
・集中治療患者
抗生物質を多用している患者

 C. aurisの DNA解析では、「抗真菌耐性遺伝子 (antifungal resistance genes)」が見つかっている。これは、一般に広く感染が拡大している「Candida albicans (カンジダ・アルビカンス)」の遺伝子に極めて類似している。
 このことは、薬剤に対する耐性遺伝子が、すでに多くのカンジダ類の仲間にも共有されてしまっていることを意味するという。

 なぜ、真菌の化け物のような C. aurisが、この世に現われたのか。
 その原因は気候変動がもたらした地球温暖化にある。そもそも、ほとんどの真菌類は冷温な土中を好んで棲息していた。それが、気温が上昇するにつれて、C. aurisは、高温に適応できるように進化して、体温36 - 37 ℃の人間の体の中で増殖が可能になったと考えられるという。
                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com