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「人食い」なんかしない!:「日なたぼっこザメ (basking sharks)」 (BBC-News, August 6, 2019)

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 「shark (鮫)」が、なぜシャークと呼ばれるようになったのかは、誰も知らない。英語には珍しい語源不詳の語彙 (vocabulary)だ。
 その凶暴、貪食、冷酷な魚は、4つ足の冷血動物 Crocodile (ワニ)と並んで、悪の象徴。いずれも、嫌な目つきをしている。

 しかし、どんな悪人でも、そうであるように、「悪の象徴」と言われながらも、「sharks」、「crocodiles」だって、ひとかどの理屈をこねるだろう。
 もしも、意思伝達手段を持っているなら、さしずめ、こんなところか。

 『俺たちが悪(わる)だって! とんでもない。俺たちたは、2本足で歩くヒト属 (Homo)に比べたら神様よ。彼らのように、血も涙もない、冷酷無残なやり方で、仲間を殺したりはしないし、彼らほど、凶暴、貪食・貪欲、冷酷ではないさ。』

 さらに、続けて、こう言うだろう。

 『それに、2本足には、俺たちのことが、よく分かっていない。俺たちの仲間にも、それあ、「人食いザメ」だっていることはいるが、「おっとりザメ」だっているのにさ。』

 え!「おっとりザメ」だって。それは、どんなサメだ。

 それは、どうやら、近寄っても人間に危害を加えない「basking sharks (ウバザメ)」のことらしい。
 その英語名を直訳すると「日なたぼっこザメ」となる。海面に浮上して、のんびりとプランクトンを食べる様子が、「日光浴」をしているように見えたからとも言われている。

 ところで、この「日なたぼっこザメ」、ここでは「おっとりザメ」と呼ぶことにしよう。いくら何でも、日本語名の「姥鮫」では、余りにも気の毒だ。

 「おっとりザメ」は体が大きい。ジンベエザメに次ぐ世界第2位の巨体の魚だ。しかし、性格がおっとりしているため、凶悪なサメに襲われて、体に傷があるものが多い。
 それでも、獰猛(どうもう)な「白い死神」のホオジロザメとは、まったく違った進化の道をたどった魚だ。
 そればかりか、

・social interactions:社会的な交流
・group behaviours:グループ (大きな群れ)で移動
・courtship:求愛活動

を見せる不思議なサメだ。けれども、その実態の詳細は、ほとんど知られていない。

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 Scotland北西部沖合の「The Sea of Hebrides (ヘブリディーズ海)」には、毎年5月から10月にかけて、幾つもの「おっとりザメ」の群れが、プランクトンを追ってやってくる。この海域は「おっとりザメ」の繁殖域と見られているが、これまで、その子育ての様子がカメラで捉えられたことはない。

 そこで、WWF/Sky Ocean Rescue, Scottish Natural Heritage, WHOI, Exeter大学の共同プロジェクト「The SharkCam project」が2012年に立ち上げられた。このプロジェクトの目的は、「autonomous underwater vehicle (自律型海中探査機 [ロボットカメラAUV])」を海面下に下ろして、「おっとりザメ」の生態をつぶさに観察することにある。

 その結果、研究者の想像以上に、海底すれすれに泳いでいる時間が長いことが分かったという。Exeter大学の Dr Suzanne Hendersonらは、「The Sea of Hebrides (ヘブリディーズ海)」を海洋保護地域に指定するように求めている。
 
 WWF (世界自然保護基金)「SEAS programme manager」の Dr Jenny Oatesは、海洋保護の重要性を次のように述べる。

" It is essential that we safeguard our seas, not just to enables magnificcnt species like basking sharks to thrive, but because all life on earth depend on our oceans."

[ 私たちの海を守ることはとても大切なことよ。それは、海がなくては、ウバザメのような素晴らしい海洋生物が生きて行けないだけではないわ。地球上のあらゆる生命体が私たちの海に関わって生きているからなの。]

                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com