ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

誇り高きケルトの戦士:「よそ者」に破れて、奴隷にされた歴史! (BBC-News, August 5, 2019)

f:id:hiroshinews:20190815062348p:plain

 古代ローマの建国はBC753年。それから100年ほどして、Celts (ケルト人)がヨーロッパ大陸から Britain島に渡り、しばし、時が過ぎた。
 AD43年、Celts (ケルト人)の住む Britain島を古代ローマ軍が侵攻した。そして、そのローマ人がAD410年に Britain島を去るまで、Celtsの上流社会では Latin (ラテン語)が話された。
 しかし、古代ローマ軍が去ると、これを待ち兼ねていたかのように、デンマークの Angles (アングル人)、Jutes (ジュート人)、それにドイツ北部のSaxons (サクソン人)が、次々に、気候の温和な Englandを侵略し、多くの Celts (ケルト人)を殺戮 (さつりく)した。いずれも、もとは、スカンジナビアデンマーク出身で、「北ゲルマン語」を話す、バイキングの祖先だ。

 戦いに敗れた、誇り高き Celts (ケルト人)の多くは、潔(いさぎよ)く、我が身の命を絶った。そして、生き残った一部の Celts (ケルト人)も、西方の辺境の地「Wales (ウェールズ)」に追いやられるか、奴隷にされた。
 北ゲルマン語系の、もともと、よそ者、ならず者であった侵略者が、Englandを征服すると、それまで住んでいた住人を「Wealas (よそ者、外国人)」と呼んで蔑(さげす)んだ。その差別語が「Wales」の語源。

 このようにして、Englandの肥沃(ひよく)な大地の殆どを手にした、バイキングの祖先に当たる諸民族は、1066年、フランス北西部に移住した振興バイキング一族のノルマン系フランス人に征服されるまで、約500年間、互いに権力争いを続けながらも Britain島に君臨し、北ゲルマン語系社会を築き上げる。この間の英語が「Old English (古英語)」。なんと、その語彙(vocabulary)の約 85%は「Germanic (ゲルマン語)」だった。

 ノルマン系フランス人が、1066年の「The Norman Conquest (ノルマン征服)」で歴史的な勝利を挙げると、Britain島の「Germanic (ゲルマン語)」は一掃されるか、単語の綴りが強要されて、代わりにラテン語、フランス語が英語の中にドンドン借用された。

 しかし、Celtic (ケルト語)の Alps (アルプス), Donau (ドナウ), Rhein (ライン), London (ロンドン)は、かろうじて、現代にそのまま残った。

 Celts (ケルト人)の一部は、結局、Wales, Ireland, Scotlandに逃れて生き残り、それぞれの地で、Celtic (ケルト語)から派生したWelsh (ウェールズ語)、Irish (アイルランド語)、Scottish Gaelic (スコットランドゲール語)を話すようになる。

 現在、IrelandでIrish (アイルランド語)を話すことができる人は約176万人(全人口の約 27%)を数えるが、日常的に Irishを話している人は、0.5%にも満たない。
 一方、「The Office for National Statistics (英国国家統計局)」によると、Welsh (ウェールズ語)を話すことのできるウェールズ人の数はおよそ874,000人(全人口の約 28%)。

 「Welsh Language Commissioner (ウェールズ語コミッショナー)」のMr Aled Robertsは、ウェールズ語も、Irishの、二の舞を踏むのではと、強い危機感を抱く。
 このままでは、ウェールズ語も、やがて、どこかで聞いたことのある「田舎の方言」になりかねないからだ。

 問題は、学校で子ども達にウェールズ語を教えようにも、その先生が不足していること。それに加えて、せっかく、ウェールズ語を学んでも、それが必ずしも就職の際に有利になっていない点にある。

 なお、ウェールズ自治政府ウェールズ語大臣 Ms Eluned Morganは、Welshの普及を図るために新たな予算を計上し、学際的な活動機関「Prosiect 2050」を立ち上げる予定だ。目標は2050年までに「Welsh speakers(ウェール語人口)」を100万人にすること。

 勇者ケルトの民の末裔よ、へこたれるな。『負けるな、一茶 ここにあり』

                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com