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ヒーリング音楽:手術前の不安を和らげ、血圧・心拍数を下げる効果! (RTE-News, July 19, 2019)

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 浜辺に打ち寄せる波の音に、小川のせせらぎ、松林を駆け抜ける風の音。そのどれも、心を和ませてくれる。しかし、このピアノ曲をはじめて聴いたときには、心がすっかり奪われるほど感動した。ショパンの遺作となった「夜想曲(ノクターン)第20番嬰ハ短調」。
 この曲を聴いているときだったら、少々痛い目に遭っても、我慢できるかも知れない。

 病院で受けるMRI検査・治療はまだしも、手術となったら、誰でも不安が募る。
 一般に、手術前に強い不安を感じると、ストレス・ホルモンが分泌がされて、手術後の回復が遅れる。このため、これまでは、手術前に「sedative (鎮静薬)」が使用されて来た。
 しかし、鎮静薬には、呼吸、血流に関する副作用が現われることがあり、投与後には、医療スタッフの監視が欠かせなかった。

 Pennsylvania大学の Dr Veena Graffらの研究グループは被験者157人をA, B 2つのグループに分けた臨床試験を実施した。
 Aグループには、手術開始3分前に鎮静薬「midazolam (ミダゾラム)」1-2mgを注射し、Bグループには、「noise cancelling headphones (雑音除去ヘッドフォン)」を通して、UKバンド「Marconi Union」が演奏するヒーリング・ミュージック「Weightless (無重力)」を3分間だけ聴いてもらった。

 すると、音楽を聴くと、手術の不安が和らぐばかりか、血圧値、心拍数も下がり、鎮静効果は、「midazolam (ミダゾラム)」とほとんど変わらなかった。
 「music therapy (音楽療法)」は、「autism (自閉症)」、「dementia (認知症)」の治療にも使用されているが、なぜ、音楽にヒーリング効果があるのかについては、まだ十分に解明されていない。

 Dr Graffは次のように説明する。

"Music lights up the emotional area of the brain, the reward system and the pleasure pathways. It means patients can be in their own world, they can be comfortable and have full control."

[ 音楽は脳の情緒領域、報酬系、快楽経路をオンにし、自分だけの世界に入り込むことができる。それは、とりもなおさず、快適で完全に自己コントロールできる世界だ。]

 ただし、この臨床試験でヒーリング・ミュージックを聴いた患者は、自分の好きな音楽だったら、もっと良かったと述べたという。また、医者の方からは、患者が手術中にヒッドファオンを付けてしまうと、患者とのコミュにケーソンが取り難いとの不満もあった。

 Dr Graffらの次の研究目標は、どのような音楽を、どれだけの時間聴いてもらうと、最もヒーリング効果が上がるのかを明らかにすることだそうだ。

謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「BBC」の記事も参照した。記して謝意を表したい。

BBC: July 19, 2019

・Music 'calms nerves before surgery' as well as sedative'

                  (写真は添付の RTE Newsから引用)

www.rte.ie

www.bbc.com