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人類に $300bn (32兆円)と、その気があれば:気候変動は止められる! (BBC-Science & Environment, July 4, 2019)

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 とめようにも、止まらなくなった「global warming (地球温暖化)」。お陰で、気候が狂い出し、これまで経験したことがないほどの熱波、水不足、山火事、大洪水が、世界中で頻繁に発生するようになった。
 今さらではあるが、なんとか、この「気候変動 (climate change)」を止めることができないものか。

 「Eidgenössische Technische Hochschule Zürich (チューリッヒ工科大学)」の Tom Crowther教授らの研究チームは、「Google Earth」の80,000枚に及ぶ高精度衛星画像データとAI技術を駆使して、地球上の植生を解析した結果、現在の人類が実施可能で、最も低コストな「気候変動対策」は,、「forest restoration(森林再生)」との結論に達した。(研究内容の詳細は科学雑誌「Science」に発表。)

 もしも、USの国土に匹敵する面積(約0.9億ha)に植林することができれば、大気中のCO2は、その樹木によって2,000億トンが吸収されると見る。その数値は、人類が産業革命以来、大気中に放出した CO2全排出量の2/3に相当するという。

 Crowther教授らが、森林再生に最適とする国は、Russia, US, Canada, Australia, Brazil, Chinaの 6ヶ国。
 なお、1本の木を植えるためのコストは $0.3。0.9億haの面積に必要な苗木は約 1兆本。したがって、地球を救うために必要なコストは $300bn (約32兆円)となる。
 
 万葉の時代から、日本人は樹木には精霊・神が宿ると信じ、高山や神社仏閣などの古木を大切に守った。それは古代ギリシャ人も同じで、とくにオークの木には、精霊Dryad (ドリュアス)が宿ると信じ、敬意を払った。

 それが、18世紀以降、金儲けが盛んになると、人々は、まるで妄想に取り憑かれたように、木々を切り倒し続けた。その結果、地球上の樹木は約半分になった。今でも、年間100億本の木が切り倒されているという。
 
 しかし、Crowther教授らの提案は、「easier said than done (言うが易く、行なうは難し)」だ。たとえ、森林再生コスト32兆円を億万長者の誰かが負担すると申し出たところで、Russia, US, Canada, Australia, Brazil, Chinaの、どの国だって、快く、木を植えさせてはくれないだろう。
 逆に Brazil などは、アマゾンを切り払うのに手を貸してくれと、主張するに違いない。

謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「The Guardian」の記事も参照した。記して謝意を表したい。

The Guardian: July 4, 2019
・Tree planting 'has mind-blowing potential' tackle climate crisis

                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com