おとな、とくに政治家・権力者の好きな言葉に「建前( facade)」と「本音 (real mind)」がある。
表向きは、勉強させている振りをし、その実、校名を高めるために生徒には授業を受けさせず、代わりにクラブ活動をさせて、学校 (高校)の「広告塔 (poster boys)」とする。
フランスのバカロニア試験のような全国統一試験を実施したならば、惨憺(さんたん)たる学業成績であることが明るみになるだろう。
教育とは、何が正しく、何が間違っているかを判断する力、あるいは問題を分析し、真理を探求できる力を育てることだとも言えよう。
人は、何も学ばなくとも、生けて行けるが、ただ生きているだけでは、幸せになれない。
脳神経細胞の分裂が盛んな子どもは、知識の吸収が早い。語学・数学の科目は、この時期を逃(のが)すと,後に、習得しようと思っても苦労することが多い。
しかし、戦後の日本が、そうであったように、世の中には、満足な食事にもありつけない貧困家庭に生まれたばかりに、日中は農作業などの手伝いに追いまくられ、日暮れになって、労働から解放されても、疲れ切って、十分な勉強時間がとれない子どもも、大勢いるはずだ。
Wales南部の都市「Swansea (スウォンジー)」の「Blaenymaes district (ブレニィメス地区)」。ここの子ども達の多くは「学校の無料給食 (free school meals)」で飢えを凌(しの)ぐ。
ところが、政府は、そんな子ども達の家庭環境を知ってか、知らずにか、小学校の教育改革に着手した。その中心は、次の6教科の教育に重点を置いた「新カリキュラム」の導入だった。
・maths:算数
・numeracy:基礎計算
・language:国語
・literacy:読み書き
・communication:コミュニケーション
・exposed arts:表現芸術
しかし、Cardiff大学の Dr Nigel Newtonらの研究グループが調査したところ、学校の無料給食を受けている子ども達は、学校の勉強について行けず、全国統一試験GCSEで、合格点のC以上の成績が5科目以上にのぼる子どもは、わずか32%だった。
また、貧困地域からの子どもが多い小学校の先生204名の内、64%は、子ども達に、学校給食以外に、何らかの援助が必要と感じていた。
政府が、生徒の「読み書き算盤(そろばん)」教育に力を入れても、「afflluent area (富裕地域)」と「deprived area (貧困地域)」の子どもの学力の差は増すばかりだ。
昔も今も、子ども達は、家庭の収入や権力者の考えで「educational destiny (学びの運命)」が決められている。なんと不合理なことか。
(写真は添付のBBC Newsから引用)