いつの時代、どこの国でも、もっとも懐(ふところ)を豊かにするのは、直接、汗をかいて生産に携わらない商人や、これに経済的支援を受けた政治家、支配者・権力者だった。現在、小麦・大豆、米などの農産物、金・プラチナ、銅などの鉱物資源は、メジャーと称する巨大企業が世界の市場・流通を牛耳(ぎゅうじ)る。
今、悲惨な状態に置かれているのは、コーヒー栽培で生計を立てている世界2, 100万軒の農家。
先住民の土地を容赦なく奪い、アマゾンの密林を勝手に切り開いて、膨大なプランテーションを手にしたBrazil は、世界第1のコーヒー豆生産国となった(年間生産量268万トン[2017])。しかし、その他の中央アメリカ・アフリカ諸国では、細々とコーヒーの木を栽培する小規模農家がほとんどだ。このため、コーヒー豆価の暴落によって、その栽培だけでは、まともな暮らしができないほど深刻な経済状況に陥った。
コーヒー豆が1lb(ポンド)当たり$1以上で売れないと、子どもを学校に行かせることもできず、毎日の食事にも事欠くのだ実態だ。コーヒー豆は安ければ良いという訳にはいかないのだ。
コーヒー豆の価格は、なぜか、今年の5月に$0.88/lbに暴落した。7月中旬になって、ようやく$1台に回復したものの、価格はこの10年で最低水準にある。
ところが、UK, USのカフェでは、「カフェラテ」の値段が上がった。これは、どうなっているのか。
1カップ$4 (430円)のカフェラテで、栽培農家に還元される利益は、その2% ($0.08 [9円])以下。カフェラテ1杯の売り上げがあっても、その69% が人件費・店舗営繕費などに吸収されている。Guatemala, Nicaragua, El Salvador, Mexicoのコーヒー栽培農家の60%以上が、農家でありながら、食糧不足(food insecurity)に苦しむ。
そこで、多くの農家がコーヒーの栽培をあきらめて農地を手放し、難民となった。目指すのは、富・貧困、犯罪・差別、人種の「るつぼ」のUS。
一度、放棄されたコーヒー農園は、病気が発生し、荒れるに荒れる。たとえ、難民が、国に戻されたところで、直ぐにコーヒー豆の生産を望むのは無理だ。
助け合いの精神が崩壊した人類。一人勝ちした「Nestle (ネスレ)」が、一人ほくそ笑む日も長くは続かないはずだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)