カモメとウミネコは鳴き声が違うだけで、どちらもカモメ科に属する海鳥だ。海のギャングとも、浜辺の掃除屋とも言われる。
私は、あの目つきが大嫌いだ。まるで、隙があれば、他の鳥のヒナや卵を盗み取ろうと常に狙っている、冷酷にして貪欲な目つき。それは、隙あらば、人の良さそうな人物を「カモ」にして、金銭をだまし取ろうとするペテン師・詐欺師の目つきだ。
不思議なことに、英語の「gull (カモメ)」には、騙(だま)されやすい「間抜け」の意味がある。
さて、英語のことわざに
・The gull comes against the rain. [カモメは、嵐を背にしてやってくる(嵐の前触れ)。]
とある。しかし、オーストラリアのカモメは至上最悪のカモメだ。
・The gull comes against the disease. [カモメは、手の付けられない病気の前触れ。]
Murdoch大学の Dr Sam Abrahamらの研究グループがオーストラリア全土の「silver gulls (ギンカモメ)」を調べたところ、20%以上のカモメの「faeces (糞)」から、「尿路感染症 (urinary tract infection)」、「血液感染症 (blood infection)」、「敗血症 (sepsis)」の原因となる「E. coil (病原性大腸菌)」が検出された。
しかも、その中には、ごく一般的な抗生物質治療薬の「cephalosporin (セファロスポリン)」、「fluoroquinolone (フルオロキノロン)」が、まったく効かない病原菌があった。
加えて、重症かつ危険なスーパー・バグ感染症に対する「最後の手段 (last-resort drug)」として使われる抗生物質「carbapenem (カルバペネム)」さえ、効かない病原菌も見つかった。
カモメが「rubbish and sewage (ゴミや汚物)」を漁(あさ)っているうちに、抗生物質の効かない強力な耐性菌を保有するようになったものと考えられる。
どんな抗生物質でも効かない病原菌 (スーパー・バグ)を、カモメがその糞と一緒に全国にばらまいては、いずれ、どの病院でも、取り返しの付かない事態になりかねない。
オーストラリアに限らず、また国外、国内にかかわらず、庭先や車の上、衣服などに付いた鳥の糞は、素手で触ってはいけない。万一、触ったときは、直ぐ、十分に手を水洗いすることだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)