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無言の殺し屋「liver disease」:救いの神は「最新検査システム」 (BBC-News, June 25, 2019)

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 小さな町に小さなお茶屋さんがあった。戦後、そこの主人が復員し、町の小学校の補助教員になった。若い正規の先生よりも身分は低く、教員室の隅っこに先生の机があった。しかし、低学年の子どもを虐(いじ)める悪ガキの上級生に対しては、容赦なく、そのほっぺたに、陸軍仕込みの強烈なビンタを食らわせた。

 薄っぺらな熱血先生とは、まったく次元の違う、弱いもの虐め、曲がったことが大嫌いな、どの子どもにも優しい先生だった。

 担当の国語の時間になると、生徒は皆、目を輝かせていた。ときおり、教科書から離れて語る「戦争体験」は、真に迫るものがあり、子どもの心を捉えて離さなかった。

 やがて、先生は学校を辞めた。過酷な軍隊生活で壊した肝臓が悪化したためだそうだ。

 Dundee大学のJohn Dillop教授によると、
・Liver disease is a silent killer, it creeps up on you
 [ 肝疾患は、(冷酷な)無言の殺し屋。人に気づかれないように忍び寄る。]

つまり、肝機能に異常があっても、痛みを伴わないため、気づくのが遅れるというのだ。異常があるとすれば、少々、顔色が悪くなる程度か。

 Scotlandでは、なぜか「liver failure epidemic (肝不全の大流行)」が起こり、肝疾患で死亡する患者は年間800人に上る。
 そこでDillop教授らの研究グループは、検査データをコンピュータ処理で分析する「The intelligent liver function tests (インテリジェント肝機能検査)」システムを開発した。

 患者の血液サンプルは「Dundee's Ninewells Hospital」の「The automated blood science laboratory (自動血液科学研究所)」に送られて分析に掛けられ、そこで「liver disorder (肝障害)」や肝機能に異常が見つかると、自動的に、さらに詳しい血液検査が実施されるという。
 この検査・分析システムでは、「potential outcomes (潜在的転帰)」すなわち肝機能の問題点32項目がチェックされ、これまでに比べて格段に早い、かつ優れた早期治療に着手できる。

 Scotland中央東部の「Tayside (テイサイド)」で、昨年2,500人以上が、この新肝機能検査を受け、その内30%に何らかの異常が見つかったとのこと。

 堂々と胸を張って生きることを教えてくれた、あの小学校の国語のH先生。生まれるのが50年遅かったら、戦争に行くことも、肝臓を悪くすることもなかったに違いない。また、たとえ、肝臓が悪くなったとしても、その頃と違って、早期に優れた治療が受けられたと思うと、残念でならない。
                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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