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グルコサミン・サプリに:心臓疾患のリスク減少効果があるって? (BBC-Health, May 15, 2019)

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 「薬 (くすり)」は、なにも医薬品 (medicines)だけとは限らない。『苦労は身のくすり』とも言う(学研 現代国語辞典)。金田一春彦氏は、その辞典の中で「心や体のために役立つ物事」とも定義する。したがって、入浴に運動や懐石も、りっぱな「薬」ということになる。

 我儘で、社会のルール・法律を守らず、約束を守らず、自分の利得のために好き勝手なことをする人は、全く、打つ手なし。そんなとき、下世話なことわざで『「馬鹿につける薬はない』と、罵(ののし)る。この諺 (ことわざ)の「薬」は、前述の「苦労」の範疇に入り、英語の「remedy (療治、療法)」がふさわしい。
 少々しつこいが、「馬鹿につける薬はない」とは「No remedy for a fool.」あるいは「There's no remedy for a fool.」。

 さて、薬局 (pharmacies)や健康食品店 (health food shops)で販売されている「グルコサミン・サプリ(glucosamine supplements)」も「remedy (療法剤)」であって、「medicines (医薬品)」ではない。「supplements (サプリ)」は「健康補助食品」とも呼ばれるゆえんだ。
 このサプリを次のような疾患の治療に利用する人もいる。

・joint pain:関節痛
・osteoarthritis:変形関節症
・other joint disorders:その他の関節疾患

 しかし、NHS (国民保健センター)のガイドラインによると、グルコサミン・サプリは変形性関節症の治療に向かないとされる。
 そもそも、『関節痛などの症状に「glucosamine supplement」が治癒効果あり』とする主張は沢山あっても、その根拠が定説として認められておらず、検証データも少ないのだ。

 「glucosamine (グルコサミン)」は人間の「joint cartilage (関節軟骨)」の中に存在する化学物質。そのサプリは、化学合成によって、あるいはカニ・エビなどの「selfish (甲殻類)」から抽出された「active ingredients (活性成分)」によってつくられ、販売されている。

 ところが、USのTulane(テュレーン)大学の Dr Lu Qiらの研究グループが、UK在住の約466,000人を対象にして、7年間(2006-2010年)にわたる「lifestyle survey (ライフスタイル聞き取り調査)」を実施したところ、調査対象者の約 5人に1人が「glucosamine supplement」を飲んでおり、飲んでいない人に比べて、「cardiovascular diseases (心循環器系疾患)」の発症率が約15%低かったと「The British Medical Journal」に発表した。

 ただし、なぜ、このサプリが「heart and artery diseases (心・血管疾患)」のリスクを低減させているのかについては、明らかにされていない。
 Glasgow大学の Naveed Sattar教授によると、この研究結果だけで、グルコサミン・サプリの医療効果を決めつけるのは時期尚早。医療効果を医学的に確認するためには、とにもかくにも「trials (臨床試験)」が欠かせないと主張する。

 なお、次の人は「glucosamine supplement」を避けた方が良い。

甲殻類(カニ・エビなど)アレルギーの人
・妊娠中あるいは授乳中の女性
・ワルファリン (warfarin)を服用中の人

 なお、このサプリを飲むと、抗ガン剤によっては、その効果が薄れるものもあり、また、 副作用を起こすこともある。注意が必要だ。

むすび:たとえ、1億人を対象にした聞き取り調査であれ、たとえば「足が長い人が長命」との統計データ解析結果が得られたところで、医学的には何の意味があるのだろう。科学の世界では、「なぜ」の質問に対して、的確な検証データを示した上で、論理的に答えられなければならない。

謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「UPI」の記事も参照した。記して謝意を表したい。

UPI: May 15, 2019
・Arthritis supplement glucosamine may lower heart disease risk

               (写真は添付のBC Newsから引用)

www.bbc.com