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車の排ガスが子どもを苦しめる!:小児ぜんそくの多い国はどこ? (BBC-Health, April 10, 2019)

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 公害対策基本法 (1967年)が、なぜか、環境基本法 (1993年)に変わって、「公害」という文字の「毒々しさ」、「加害者・被疑者の悪行さ」が骨抜きになった。
 しかし、大気汚染、水質汚染、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭などが、人々の健康・生活に被害を及ぼす限り、それは「公共に及ぼす害」すなわち「公害」に他ならない。
 
 大気汚染 (air pollution)は、工場・発電所の煤煙もさることながら、自動車の排ガス由来の「traffic pollution (交通公害)」が大きく影響している。その排ガスの主成分は NO, NO2であり、とくに「nitrogen oxide (二酸化窒素)」NO2は「airway (気道)」、「lungs (肺)」にダメージを与えて、「asthma (喘息)」、「lung diseases (肺疾患)」の発症リスクを高める。

 WHO (世界保健機関)によると、「children asthma (小児喘息)」は1950年代以降、急速に増加し、大気汚染が原因で心臓疾患、脳卒中、呼吸器系感染を患(わずら)って早死にする子どもは、世界で年間420万人。
 そこで、WHOは大気中のNO2濃度のガイドラインとして、40µg/m3  (21ppb)を設定し、各国に対して、清浄な空気の保全に努めるように働きかけている。

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 さて、George Washington大学の Dr Ploy Achakulwisutらの研究グループは、世界194ヶ国、125主要都市における小児喘息と交通公害 (traffic pollution)との関連性について調査し、次のような結果を医学雑誌「The Lancet Planetary Health Journal」に発表した。

1.小児喘息(交通公害が原因)罹患率の高い国

・Kuwait:550人/10万人
・United Arab Emirates (アラブ首長国連邦):460人/10万人
・Canada:450人/ 10万人

2.小児喘息 (交通公害が原因)患者の多い国

・China:760,000
・India:350,000
・US:240,000
・Indonesia:160,000
・Brazil:140,000

3.小児喘息全体に占める、交通公害が原因の小児喘息の割合が高い国
          (世界全体の平均値は 13%)
・South Korea:31%
・Kuwait:30%
・Qatarr:30%
・United Arab Emirates:30%
・Bahrain:26%

 しかし、低・中所得国では、子どもに対して適切な診断が実施されていないこと多いため、「pollution-related asthma (交通公害が原因の小児喘息)」の実際の数値は、報告された値よりも高くなる可能性がある。

 社会で最も脆弱な立場に置かれた子ども。その子ども達が自動車の排気ガスによって健康が冒されている。それは「It's beyond doubt. (疑いようがない事実)」。地球の空気を汚しに汚したのは大人だ。大人には、汚れた空気を元に戻す義務と責任がある。まともな親で、子どもの幸福、健康を願わない親はいないだろう。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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