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タバコとお酒の違いは:毒マムシとトカゲの違い? (BBC-News, March 28, 2019)

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 中国の南の景勝地「桂林」を訪れたとき、国営の漢方薬研究所の直売店に入った。そこにはキノコ・薬草やら「得たいの知れないもの」まで、ところ狭しと並べられていた。どこで、だれが、どうやって捕まえたのか、カラカラに乾燥させたヘビ、トカゲ、ヤモリまで積み上げられていた。売店の片隅に立った大柄の中国人女性は、体に効くからと、しきりに購入を勧める。
 トカゲ・ヤモリは焼いて食べるものなのか、砕いてお湯で飲み干すのか、うっかり聞き漏らしたが、どうせ「食べ過ぎに注意」の類いだろうと、その場を離れた。

 さて、イギリスの「NHS (国民保険サービス)」は、アルコール摂取に関するガイドラインを発表し、その中で、ワインに限ると、小さなグラス (175ml)で週に 7杯までが、「moderate drinking (ほどほどのお酒のたしなみ)」とされる。
 ただし、「There is no safe level of drinking when it come to health risk. (健康上のリスクが発生しない、安全なアルコール摂取量など存在しない。)」

 そこで、Southampton大学 Dr Theresa Hydesらの研究グループは、ほどほどにワインを飲んだら、どの程度、ガンの発症リスクが上がるのか、「Cancer Research UK」のデータ等に基づいて、モデル解析を実施した。

 タバコを全く吸わない男女それぞれ1,000人が、週当たりボトル 1本 (750ml) (小さなグラス 4杯分強)のワインを飲み干したとき、一生の間にガンはどれ位の確率で発症するのかを解析したのだ。その結果、モデル解析では、男性に10% (10人)、女性では14% (14人)に、ガンが発症すると出た。アルコール摂取が関与するガンとして、女性は乳ガン、男性は「gastrointestinal and liver cancers (消化管ガンや肝臓ガン)」だった。(研究結果の詳細は医学雑誌「BMC Public Health」に発表。)

 つまり、ワイン1本分の、ガンの発症リスクは、男性でタバコ 5本分、女性では10本分に相当すると言うのだ。
 ただし、解析に当たっては、今はタバコを吸わない人でも、以前は吸っていたのか、あるいは,年齢、遺伝子、食生活、生活スタイルなどのファクターが、考慮されなかった。
 さらに、「The Institute of Cancer Research (英国ガン研究所)」のDr Minouk Shoemakerによると、ガン発症リスクの全体像は、極めて「complex and nuanced (複雑で微妙)」。これに対して、Dr Hydesらの結果は、あくまで、多くの仮定のもとで計算された値に過ぎない。

まとめ:『タバコ10本のリスクが、ボトル 1本分のワインのリスクに当たる。それならば、タバコ数本くらい吸っても、大丈夫だろう』、と考えるのは危険。タバコはガン以外の病気にも深く関わり、タバコを吸いながらお酒を飲むと、事態は最悪となる。タバコの毒は、アルコールとは全く別物。体にとって、タバコは、マムシトリカブトの類いと見るべきだ。
                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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