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缶詰(かんづめ):知っておくと便利な「あれこれ」情報詰め合わせ (BBC-Health, January 30, 2019)

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 こんなはずではなかった。『風吹けば、桶屋 (おけや)が儲かる』とはよく言ったものだ。思いがけないことは、よく起こるもの。

 イギリス国民が移民の受け入れを拒否するために、EU離脱を決めたものの、その離脱のあり方を巡って議会では意見が分かれ、強気のMay首相も苦境に立たされている。もしも、この3月、「合意なき離脱 (Without a deal)」となれば、物資の流通に混乱は避けられず、食料不足に陥りかねない。一部のイギリス人は、食料 (主に缶詰)の買いだめを始めたという。
 移民の背中を押した風が、なんと「缶詰メーカー」を儲けさせることになるとは .....。それは、誰にも想像さえ、できなかったことだろう。

 筆者の缶詰の思い出は、なんと言っても、ベーリングオホーツク海域の「北洋漁業」で製缶された「鮭缶」。そのほとんどは輸出用に回されたと聞くが、その味は逸品だった。日本がそれほど豊かではなかった時代にあって、ピカピカの鮭缶のフタを缶詰切りでギシギシと開けるのは、小さな子どもにとって最高の贅沢であり、喜びでもあった。

 さて、その缶詰 (tinned food)。つい、引き出しの中の奥にしまい込んで忘れるもの。『気がついたら、缶が潰れていた、あるいは賞味期限が切れていた』に類似した経験のある人は、少なくないはず。緊急事態のとき、そんな缶詰を食べて大丈夫だろうか。それに、缶詰と生鮮食品の栄養価の違いも、分かっているようで、不確かな点も多い。
 BBC Health EditorのMs Mcichelle Robertsが、缶詰にまつわる様ざまな疑問に答える。
 
1.Loss nutritious?:缶詰にすると、栄養価が下がるのでは?

 缶詰(canned foods)は、食品を高温で圧力調理してスチール缶に密閉したもの。だから、生鮮食品 (fresh foods)あるいは冷凍食品 (frozen foods)に比べて、かなり栄養価が失われていると思われがちだ。
 しかし、栄養科学者のMs Bridget Benelamによると、どんな食品でも、調理の際に栄養価が下がってしまうのは避けられないという。生鮮野菜・果物 (uncooked fruit and veg)も時間が経つと栄養価が落ちる。たとえ冷蔵庫に保管したとて、その劣化 (degradation)は止まらない。
 一方、冷凍食品も同じ。冷凍処理で栄養価が失われ、さらに解凍する際にも失われるため、結局、その栄養価の損失量は、缶詰と余り変わらなくなる。

 なお、缶詰の加工工程で損失が大きいのは、「water-soluble vitamins (水溶性ビタミン)」。
骨や血管・神経系を健康に保つために欠かせない「ビタミンC」、「ビタミンB1(thiamine)」が壊れてしまうのだ。
  そうは言っても、登山家や探検・冒険家でない限り、毎日、まいにち缶詰だけを食べることなど、まず、ほとんど、ありえない。したがって、缶詰を補助食材として使う、一般家庭では、一部のビタミンの欠如など、全くと言っても良いほど問題なし。

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2.What to buy:どんな缶詰がお勧め?
 缶詰は、一般の食生活では、地味な食品だ。しかし、グリンピース、トマト、コーンなどの缶詰は、料理の幅を広くするのに役立ってくれる。また、魚・肉の缶詰も自然災害などの非常時には、あると便利だ。

 その缶詰で注意する点は、加工時に添加される砂糖、塩、脂肪分。
 モモ・ミカンなどのフルーツ缶詰は甘くてドロドロのシロップ入れで、これを飲んだら砂糖の摂り過ぎとなる。そして、野菜は塩水に漬かり、肉も長期保存に耐えられるように、塩分高めで調理されている。
 この点に注意して利用すれば、どの缶詰食品も「5-a-day (1日5品目のフルーツ・野菜を)」の1品目として、テーブルに並べることができるという。
 ただし、購入の際は、成分表、賞味期限のチェックをお忘れなく。

3.Is it OK to keep leftovers in my fridge?:食べ残しを冷蔵庫で保管してもいい?
 スチール缶は、スズ (tin)や酸化クロム (chromium oxide)のメッキ処理で耐食性を高めている。このため、フタを開けたら、すぐに中味を別の容器に移し替えて冷蔵庫に入れ、保管すること。そのままにして置くと、メッキ成分が中味に移ってしまう。

・Head the self-by date:販売期限 (消費期限)に注意
 数週間ごとに、保管している缶詰の販売期限 (self-by date)をチェックし、保存が長引いた缶詰は、早めに使う。

・Beware damaged cans:損傷した缶詰は要注意
 多少の「ひこみ (small dents)」があっても問題ないが、フタが膨らんでいたり、キズがあったり、中味が洩れているのは、腐敗 (spoilage)の兆候。また、フタを開けた瞬間に、中味が吹き出したり、悪臭、あるいはカビがあったら、直ちに捨てること。

・Is it normal to hear a 'hiss' when your open it?:フタを開けたときのシュー音は?
 缶詰は真空パック状態になっているため、フタを開けたとき、軽くシュートと音がすることがある。これは問題なし。ただし、大きな音を立てたり、中味が噴出する缶詰は、品質が損なわれている証し。これも捨てる。

4.What about the chemicals?:化学物質はだいじょうぶ?
 トマト缶のような缶詰では、その内側のエポキシ樹脂塗装から、化学物質「Bisphenol A (ビスフェノールA, BPA)」が検出されることもある。
 しかし、「The Food Standard Agency (英国食品基準庁)」、「The European Safety Authority(欧州食品安全機関)」のいづれも、流通している缶詰食品に含まれる「harmful chemicals(有害な化学物質)」は、健康に問題ないレベルとする。

5.Other canny facts:その他のトピックス
 缶詰 (canning)の歴史はNapoleonの時代に遡(さかのぼ)る。Napoleonフランス軍の食料調達の便を図るため、国中から食料の長期保存方法を募集した。懸賞金は12,000フランだった。これを見事に勝ち取ったのが「Nicholas Appert (ニコラス・アペール [1749-1841)」。
 Appertは、牛肉・鶏肉をビン詰めにする方法を考案した。

 ところが、ビン詰めは重く、割れやすい。このフランスの軍事機密「ビン詰め」をいち早く入手したイギリスの「Peter Durand(ピーター・デュランド [1766-1822])」は、ビンを金属容器に替え、さらに特許まで取ってしまう (1810年特許取得)。

 なお、「Kanter Worldpannel」の統計調査によると、イギリス人が2018年10月~12月の 3ヶ月間で消費した缶詰は約0.5mlb (約230,000トン)。イギリス人は缶詰好きだ。それも、夏季よりも冬期に多く缶詰を消費する傾向があるという。
 
 『冬は、ショッピングも料理も面倒。缶詰でも食べて』。イギリス人は寒くなると「ずぼら」になるのだろうか。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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