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フィンランドの白樺:絹のように艶があって柔らかなドレスに変身 (BBC-Business, December 19, 2018)

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 人間ヒト属 (Homo)には、創造主も呆れることが 3つある。苛酷な自然界に生きるカラスやキツネでさえ決してしないことだ。それは、残忍非道な殺傷・殺戮 (bloodshed)、自慢・うぬぼれ (conceit)、そして贅沢 (luxury)。広大な宇宙にあって、その小さな生物が、おもしろ半分に生き物を殺すのは見苦しい。しかし、うぬぼれた自慢話も醜い。また贅沢は人の心も自然も破壊する。
 
 さて、その「贅沢」とは、必要以上にお金や資源をむだに消費すること。英語の「luxury」の語源となったラテン語「luxus」も、「度を超すこと」を意味する。
 どんなに力の強い密林の王者ライオンであっても、必要以上に他の動物の肉を求めないし、また、威張ることも、自慢することもしない。野生の世界では、そんなことが不自然であることを、「自明の理 (self-evident truth)」として知っているからだ。

 戦後、あれだけ困窮した「衣・食・住」も、テレビが普及する時代になると、「満足」のレベルどころか、「贅沢」なレベルに変わる。とくに、子どもの頃は、下着さえ高価なものと思えて大事に使ったのに、合成繊維と「Made in China」の登場で、衣類の大量生産、大量消費時代が始まる。

 人間の欲望は果てしないし、利益を上げようと血眼 (ちまなこ)になったファッション業界も、その欲望を巧みに利用する。毎年、それもシーズンごとに新しいファッション・デザインを創りだし、これでもか、これでもかと消費者の購買欲をそそる。これでは、毎年、新しい洋服を買って、先に買ったものは捨てるという「使い捨てサイクル」に確実にはめ込まれる。
 「安くて、軽い」。そのキャッチ・フレーズと、ファッション・モデルのイメージに洗脳された消費者は、競って、合成繊維のカジュアルな服を買い求めた。

 現在、ファッション業界が排出するCO2総量は、世界全CO2排出量の約10%。また、衣類の原材料ポリエステル線維 (polyester fibres)の生産に使用される原油は、年間約7,000万バーレル (約1,100万kl)。
 ただし、この合成繊維は、安価である反面、質 (たち)が悪い。自然分解して消滅するまでに200年以上も掛かる。廃棄された合成繊維の大半は埋立・焼却処分に回されるが、河川を通って海洋に流出し、マイクロ・ファイバーとなって海の生態系を汚染する量も膨大だ。

 最近、魚の体内組織から合成繊維が見つかり、大問題となった。人間がマイクロ・ファイバー入り魚肉を食べて大丈夫なのか。
 世界のどの海も、思いの外、石油系廃棄物 (原油、プラスチック、合成繊維など) に汚れた。魚の体の組織までマイクロファイバーに汚染され、その魚を食べた人間の臓器にマイクロ・ファイバーが入り込むと、どうなるか.......。

 さて、フィンランド林業が盛んな国だ。
 Aalto大学の Pirjo Kaariainen教授らの研究グループは、フィンランド東部の山林地帯で大量に生産される「白樺(birch trees)」の間伐材から、柔らかく光沢のある繊維をつくりだすことに成功した。フィンランド大統領夫人 Ms Jenni Haukioがその繊維で編み上げたドレスを着用し、ある式場でそのすばらしさをお披露目したところ、その後、ファッション業界から問い合わせが殺到したという。

https://ichef.bbci.co.uk/news/736/cpsprodpb/14C21/production/_104852058_finland5.jpg

 天然素材「白樺 (birch trees)」ドレスは、その生産コストもさることながら、Kaariainen教授が最も、その普及に大切と考えるのは、デザイン。誰もが着てみたいと思うようなドレスを、いかにデザインするか。そして著名人にそれを着てもらって、そのすばらしさを知ってもらうこと。それが、この「sustainable fabrics (環境保全に配慮した布地)」が成功するためのカギと訴える。

まとめ:殺傷、自慢、贅沢はヒト属の性 (サガ)と、開き直るヒトもいるだろう。しかし、「度を超す」ことを、いつまでも繰り返していては、きれいな地球、きれいな人の心が薄汚れるだけだ。そろそろ、進化した文明人らしく、自然界と調和して謙虚に生きること、生活することを学ぶときではないだろうか。

                    (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com