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人が創った和のニワトリ、洋のチキン:先祖は熱帯アジア生まれ! (BBC-Science & Environment, December 12, 2018)

https://ichef.bbci.co.uk/news/950/cpsprodpb/F4BB/production/_104715626_gettyimages-1059517914.jpg

 今から1 - 2億年前、地球は恐竜が支配した。地球上の至るところをのし歩き、力の強さも権力も絶好調で、敵なしだった。しかし、恐竜がしたことと言えば、巨大化した体で、威張り散らすだけだった。

 ところが、その後、地球上に現われた「ヒト属 (Homo)」は始末が悪い。Leicester (レスター)大学の Dr Carys Bennettに言わせると、「Earth's landscapes (地球の景観)」を壊し、「oceans (海洋)」と「atmosphere (大気)」を汚し、「land surface (地表面)」を変えてしまった。さらに、それだけに飽きたらず、生物学を持ち出して、自然界の「biosphere (生物圏)」まで変えた。すなわち、ある種の生物を勝手に品種改良して数を増やし、その一方で、多くの生物種を絶滅に追い込んだ。

 品種改良種の最たるものが「Chickens (ニワトリ)」だという。
 ニワトリは、キジ科 (Phasianidae)の鳥の仲間で、その先祖は、熱帯東南アジアに生息した「Red Jungle Fowl (セキショクカケイ)」。この鳥が約8,000年前頃、人間に飼われるようになり、その後、世界中に家禽(かきん)として広まった。

 日本にはBC300年頃 (弥生時代の幕開け)、大陸から、稲作と一緒に持ち込まれたと考えられている。奈良時代にはニワトリは「ニハツトリ」と呼ばれた。「庭にいる鳥」という意味だ。この言葉が変化して現代語のニワトリになった。

 しかし、肝心の「chickens (ニワトリ)」の変化は、そんな、言葉の微小な違いとは比べものならないほど大きく、また急速にやって来た。「進化 (evolution)」が、ヒト属の手に掛かって強制的に進められたためだ。1950年代、生物学を発展させたヒト属は、それまでに飼われていたニワトリの、品種改良に着手し、肉食用、観賞用にと、都合の良いように多くの新種のニワトリをつくり上げた。
 その結果、chickens (ニワトリ)はどうなったか。それを、もの語る数字がここにある。

・658億羽:ニワトリの殺処分数 (2014年)
・25,500件:世界中に開店したフライド・チキンの人気ブランド店舗数
・70%:集中的に飼育されるブロイヤー用チキンの割合 (2006年以降)
・5-7週間:ブロイヤー用チキンの生存期間

 このように、数の上では、「chickens (ニワトリ)」は世界を席巻する (took over the world)ようになった。
一方で、鳥は鳥でも、人類が絶滅に追いやった鳥がいることも忘れてはいけない。
 たとえば、かって、北米大陸東部に群れ住んでいた「Passenger pigeons (リョコーバト)」。その数は30億 - 50億羽と推定されている。それを、1800年代、わずか数十年で、主にアメリカ人が食い尽くしてしまった。これは歴史的な事実。

 ヒト属 (Homo)が、この地球を支配し、その活動 (human activities)が、「生きとし生きるもの」全ての命、環境に重大な影響を与え、またはこれをコントロールする「Anthropocene (人新世)」の時代に入りつつある、と Dr Bennettは見る。
 これは、将来の地球、あるいはヒト属 (Homo)にとって、良いことか悪いことか。

 また、越えてはならない「しきい値 (threshold)」を越えると、どうなるか。すでに過去の歴史が教えているところだが......。

 なお、「chickens (ニワトリ)」の進化の過程を考古学的に検証した Dr Bennettらの研究結果は、科学雑誌「Royal Society Open Science」に発表された。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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