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春の女神の強さに、冬将軍もタジタジで萎縮!:お陰で山は雪不足 (BBC-Science & Environment, December 12, 2018)

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 カリフォルニア州の「Sierra Nevada (シエラ・ネヴァダ山脈)」には思い出がある。そこは、日本の中央アルプスのように、夏が近づいても山の峰々に真っ白な雪を抱いて、California東部を縦走する山脈だ。それも、そのはず。「Sierra Nevada」とは、ペイン語で「雪の山脈」を意味する。
 さて、かれこれ15年以上も前のことだ。 Los Angeles空港から、小さな飛行機に乗り換えて、「離婚の町」として知られ、映画にも登場した「Reno (リノ)」に、独り降り立った。空港ビルは、日本の地方空港と同じ位小さく、簡素な造りであった。その空港で小型バスのチケットを購入すると、学会の会場の「Lake Tahoe (レイク・タホー)」湖畔のホテルまで連れて行ってくれた。

 バスは、走り始めると、ドンドンと山奥に入り込む。幾つもの峡谷を通り過ぎても、さらに山の中の道を進む。だんだんと、心中穏やかとはいかない状況になった。幸い、同乗者にアメリカ人の老夫婦がいたので、何とか落ち着いた態度を保てが、独りでは、随分と心細かったに違いない。頭の中に「運転手は善良な人間か」、「道を間違えたのではないか」との不安がよぎった。それでも、バスは山奥へ、山奥へと道を急ぐ。

 ようやく到着して、分かった。「Lake Tahoe」は、Californiaの屋根と言われる「Sierra Nevada (シエラ・ネヴァダ山脈)」の山中にあって、ひっそりと、周囲の山々を湖面に移し、透き通るような水を湛えていたのだ。

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 さて、「Scripps Research Institute (スクリップ研究所)」のAmato Evan教授らの研究グループは、この「Sierra Nevada」を含む北アメリカ大陸東部一帯の山脈に、冬期間「降り積もる雪の量 (snow)」と「年間を通じた降雨量 (annual precipitation)」の変化を、1980年代初期から2018年にわたって調査した。

 すると、この数十年間で、冬が確実に短くなって、山脈に降る雪の量も減少し、春の雪解けが早まっていることが証明されたという。

 Californiaでは、冬の間に山脈に降り積もる雪が、山脈の麓(ふもと)に暮らす数百万人にとって、重要な水の供給源だ。これが減っては、地下の帯水層 (reservoirs)の水さえ、やがて枯れる運命をたどる。夏に猛暑が続くと、大地も山林も極度に乾燥し、害虫 (pests)の大発生を生み出す。しかし、何よりも、怖いのは「壊滅的な山火事(devastating wildfires)が頻発することだ。2018年の夏も、山火事で大勢の犠牲者が出た。

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 つまり、山脈に降る雪の量と山火事の発生には、密接な関連性があった。(Evan教授らの研究結果の詳細は、「The American Geophysical Union Meeting (アメリカ地球物理学連合総会)」にて発表された。)

 なお降雪量が減っているのは、Californiaの山脈だけではない。スイスの「Alps (アルプス山脈)」をはじめ、世界で屋根と呼ばれる高い山々では、年々降雪量が減少する傾向にある。地球温暖化によって引き起こされた気候変動は、冬から春にかけての山脈の姿まで変えてしまったのだ。
                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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