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性悪ガン細胞め、これでも食らえ!:毒グリコースで退治できるか? (BBC-News, November 21, 2018)

https://ichef.bbci.co.uk/news/736/cpsprodpb/49C2/production/_104428881_gettyimages-904264738-1.jpg

 水辺に生える「野ゼリ」と「毒ゼリ」、キノコの「本シメジ」と「クサウラ紅茸」は、いずれも見分けが難しい。では、単糖類の「glucose (グルコース)」と「mannose (マンノース)」はどうか。この2つを見分けるのはもっと難しい。何しろ、化学式はどちらもC6H12O6。違うのは、その高分子構造のヒドロキシ基 (-OH)の配列だけだ。
 ところが、この「mannose (マンノース)」を性悪ガンの囮(おとり)に使った、まったく新しいガン治療の可能性が出てきた。

 人間の体の細胞は活動するためにグルコース (ブドウ糖)が欠かせない。しかし、ガン腫瘍細胞は、正常な細胞よりも、もっとグルコースを欲しがる。ガン細胞を増殖するためには、グルコースが幾らでも欲しいのだ。まさに「starbing (飢えた)」状態にある。

 Glasgow大学の Kevin Ryan教授らの研究グループは、グルコースが欲しくてたまらないガン細胞に、グルコースによく似たマンノースを食べさせて、そのお腹の調子を狂わせると、ガン細胞が増殖できなくなることを発見した。
 どうやら、ガン細胞内に微量に存在する酵素「phosphomannose isomerase (マンノースリン酸イソメラーゼ PMI)」に「mannose (マンノース)」が結合し、グルコースの吸収を阻害しているようだという。

 マウスを使った動物実験では、副作用は確認されず、「子宮ガン」、「腎臓ガン」、「乳ガン」、「前立腺ガン」、「大腸ガン」に劇的な効果が認められた。

 この「mannose (マンノース)」は、サプリとして販売され、「urinary infections (尿路感染症)」の短期的な治療にも処方されている。

 さらに「The Cancer Research UK (CRUK)」Beatson Institute (ビートソン研究所)は、抗ガン剤「cisplatin (シスプラチン)」、「doxorubicin (ドキソルビシン)」を使った「化学療法」に、この「mannose (マンノース)」を併用すると、抗がん剤の効果が増幅されることを明らかにした。

 ただし、これらの研究は、まだ始まったばかりで、ガン患者に対する臨床実験はこれからだ。したがって、この段階で、ガン患者が自己判断で「mannose (マンノース)」を服用することは危険。
 そうは言っても、安価な「マンノース・サプリ」でガン細胞をやっつけることができるとすれば、これは驚くべき発見だ。天上の創造主が人間界に与えた「a glimmer of hope (一縷の望み)」あるいは罪深い人間に下した「一条のクモの糸」かも知れない。
                     (写真は添付のBBC Newsから引用)

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