学生時代、背が高く (lofty)、ハンサムで (handsome)、お金もち (affluent)。おまけに優しい (gentle)とくれば、女性にモテモテだった。
でも、本当に背の高い、「のっぽ」の人って得なのか。
確かに、背が高ければ、高いところに手が届く。バスケットやバレーボールの選手にとっては競技上有利だ。でも、一般の社会人の場合はどうか。
「University College London」の Tim Cole教授によると、『背の高い人にお金持ちやエライ人が多い。だから、背が高いと「Things stack up in their favour.(いろんな事が思い通りに行く)』（と考えた方がいい）。
しかし、思い通りに行かないことだってある。背が高いとガンの発症リスクが高まるのだ。この事実は、これまで、多くの研究者によって確認されて来た。
さらに、ここに「ダメ押しの一手」が加わった。
California Riverside大学の Leonard Nunney教授らの研究グループ は、23種のガンに関する国際的なデータ (UK, US, South Korea, Austria, Norway, Swedenを含む) に基づいてカン発症モデルを構築し、背の高さとガンの発症リスクとの関係を解析した。
その結果、背の高さが平均身長(男性:170.2cm、女性:160,0cm)よりも10cm増すごとに、ガンの発症リスクは約10%高くなることが明らかになった。
ただし、ガンの中でも、pancreas (膵臓)、oesophagus (食道)、stomach (胃)、mouth (口腔)、pharynx (咽頭)の部位に発生するガンについては、「HPV infection (ヒトパピローマ感染症)」などの影響が大きく、背の高さとの関係を確認することができなかった。
では、なぜ、背が高いとガンのリスクが高くなるのか。
人の体は、生涯にわたって細胞の突然変異化が避けられず、それが体内にどんどん蓄積される。そして、ある日、悪性の突然変異体の集団が増殖を始めて、ガンを発症するという。この説によると、細胞あるいは細胞分裂 (cell division)が多い人ほど、ガンの発症リスクが高いことになる。
とくに、皮膚ガンの「melanoma (メラノーマ)」は背の高い人に多い。成長ホルモン「IGF-1」は、細胞分裂の速度を早めて背を高くもするが、それだけ、突然変異を起こりやすくしている。
ただし、背の高い人は、この「Royal Society」に発表されたNunney教授らの結果に、くよくよと心配することはない。ガンの発症リスクは、「背の高さ」よりも、「タバコ」や「肥満」の影響がはるかに大きいからだ。どうか、健康的な生活を。
謝辞：なお、この一文をまとめるに当たって、以下の明晰で優れた記事も参照した。記して謝意を表したい。
・The Guardian：October 24, 2018
[ Tall people at greater risk of cancer 'because they have more cells']
（写真は添付のBBC Newsから引用）
