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孤独 (loneliness):あっと驚く、その真実! (BBC-Future, October 1, 2018)

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 人は、ときに、独りになりたいと思うこともある。しかし、よほどの偏屈者でもない限り、孤独が好きだと言う人はめったにいない。第一、人間は「ひとりぼっち」では生きて行けない。いや、人間だけはない。どの植物・動物でも、たった1つを残して、全てこの世から絶滅してしまったら、生き残るのが至難の業になることは間違いなしだ。

 しかし、かってChicago大学のJohn Cacioppo教授が唱えた説によると、孤独(loneliness)は人類 (humans)が進化して抱くようになった感情 (feelings)。
 人類は共同体 (co-operative groups)をつくって狩りをし、敵とも戦い、生き延びて来た。当時、個が共同体から見放されることは、死を意味した。したがって、人類は仲間から疎外されていると感じ取ると、仲間との結びつきを強めたり、友だちをつくり、また古い友情を再燃させる行動に出た。
 人間は本来、「わがまま」。しかし、そのわがままな個の心にブレーキを掛け、1つの共同体につなぎ止めるように働くのが孤独だったとも読み取れる。

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 さて、UKの3大学は、Londonの博物館「Welcome Collection」と共同で、孤独に関するOnline調査「BBC Loneliness Experiment」を実施した。その総計約55,000人分に及ぶ調査データを解析して明らかになった「あっと驚く事実 (counterintuitive findings)」を、Ms Claudia Hammondが次の5項目にまとめた。

1.Younger people feel loneliness than older people
  孤独を感じる人は、お年寄りも若ものが多い

 これは何としたことか。孤独を「often or very often (何度も又はしょっちゅう)」感じるとと回答した人は

・75歳以上:27%
・16-24 歳 :40%

青春時代はなんやかんやと悩みごとが多い。また、親元を離れて自立するときに当たって、目の前に立ちふさがる障害や思うようにいかないことが、山ほどある。そうこうする間に、自分がどういう人間で、何をしたいと思っているのかさえ分からなくなり、その苦しみと焦 (あせ) りとが混じり合って、自分の居場所を見つけられずに、世間から孤立していると感じてしまうのかも知れない。

2.41% of people think loneliness can be positive
 孤独をプラスに捉える人が41%

 オンライン調査対象者の41%は、孤独感にはプラスの効果があると回答した。しかし、その孤独も、慢性化すると「miserable and distressing (惨めで悲惨)」なものに変わる。その証拠に、「often feel loneliness (何度も孤独を感じる)」と回答した人の中では、孤独にプラスの効果があると答えた人は31%だった。

3.People who feel lonely have social skills that are no better or worth than average
 孤独を感じる人もそうでない人もソーシャルスキルに違いなし

 孤独に陥っている人は友だちつくりがうまくいかず、ソーシャルスキルも苦手と思われがち。孤独な人は、きちんと相手の顔を見て話し、相手の心を感じとることができるであろうか。この点に関しては、孤独な人もそうでない人との間に違いが認められなかった。唯一の違いは、「anxiety (不安障害)」から派生する「neuroticism (神経症)」上の違いだった。

4.Winter is not lonelier than other time of year
 孤独を最も強く感じるのは冬ではない

 クリスマスが近づくと、さぞかし独り暮らしの人は寂しさや孤独感を募(つの)らせるのではと思いきや、そうではなかった。クリスマス・シーズンではパーテイに呼ばれることも多くなるせいか、調査対象者の2/3以上は、孤独を感じる季節がとくに冬とは限らないと回答した。
 むしろ、夏になると、近所の住民が皆「summer vacation (夏期休暇)」に出かけるのに、どこにも出かけられなかった人は、1人だけ取り残された感を強くする可能性もある。

5.People who often feel lonely have higher levels of empathy than everyone else
 孤独に苛(さいな)まされている人は、他の人よりも共感力が強い

 CODによると、「empathy (共感力)」とは「the ability to understand and share the feelings of another (他人の感情を理解し、その感情を共に分かち合える能力」。
 研究者は、共感力を 2つに分けてデータ分析を行なった。1つは他人の「physical pain (肉体的苦痛)」に対する共感力。他の 1つは、いじめにあったときや、パーテイに呼ばれなかったときの失望感、あるいは恋人に振られたときなどに受ける「social pain (社会的苦痛)」に対する共感力だ。この 2つの共感力が、孤独とどのような関係があるのだろうか。
 その分析結果に驚く。ドアに手が挟まれた人などの「肉体的苦痛」を哀れむ共感力については、孤独を感じている人もそうでない人も、違いが認められなかった。しかし、他人の「social pain (心の苦痛)」に対しては、何度も孤独感を味わい、孤独に苛(さいな)まされている人ほど、共感力が強かったのだ。
                                         (写真は添付のBBC Newsから引用)

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