砂漠もカネになる時代がやって来た!:紛争はさらに激化するか? (BBC-Science & Environment, September 7, 2018)
「desert (砂漠)」の語源はラテン語「desertus」。その意味は、見捨てられた土地。雨がほとんど降らずに、昼夜の気温の差が40-50℃とあっては、耕地に向かない不毛の地だ。
しかし、砂漠には、年間を通じて太陽の光がふんだんに降り注ぎ、強い風が吹きすさぶ。太陽光・風力発電にとっては、願ってもない好条件となる。
2015年、モロッコ政府は、サハラ砂漠の西端「Tarfaya (タルファヤ)」にアフリカ大陸最大の風力発電設備131基を稼働させた。その総出力は 30.1万kW (301MW)。(ちなみに、女川原子力発電所1号機の出力は 52.4万kW。 )
Tarfayaの風力発電の成功は、再生可能エネルギー発電が、確実に、通常の火力・原子力発電の規模に近づいたことを示したものだった。
これで、砂漠は一気に「見捨てられた土地」ではなくなり。関係国の利権、国境を巡って、世界情勢はきな臭くにもなった。
とくに、サハラ砂漠 (Sahara desert)は、エネルギー需要の高いヨーロッパ・中東に近い。また、その面積はUSとほぼ同じ 920万km2と巨大だ。この不毛の地に、太陽光パネルを並べて風車を林立させると、原子力発電所数千基にも相当するエネルギー源になることは間違いない。
各国の政府、関連業界、研究者は、砂漠における再生可能エネルギーの開発に、こぞって動き出した。
Illiois大学とMaryland大学の研究チームは、Sahara南端に広がる半乾燥地帯(semi-arid region)の「Sahel (サヘル)」に太陽光・風力発電の実験プラントを建設し、この再生可能エネルギー源は、電力を生み出すほかにも、砂漠の降雨量 (precipitation)を増やし、気温を下げ、植生 (vegetation)の改善にもつながることを証明した。(研究の詳細は「Science」に発表)
砂漠が不毛の土地でなくなるのは、時間の問題だ。
人類は、そこから生み出される「膨大なエネルギー」と「膨大な富」を平和に分かち合えることができるだろうか。それが大変な問題だ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)