トリカブトに曼陀羅華 (チョウセンアサガオ)、彼岸花、マムシ草などはいずれも毒草だ。ただし、毒の強さでは、トリカブトに勝る毒草は数少ない。
さて、意気揚々とあるいは気取って「e-cigarette (電子タバコ)」の煙を吸うことは、トリカブトの毒を避けようと、チョウセンアサガオの根にむしゃぶりついているようなもの。
しかし、チョウセンアサガオは使い方によっては薬草にもなるが、「e-cigarette」には体にいいことなど何もない。敢えて、無理やりに1つと言えば、「giving up smoking (禁煙)」に役立つことぐらいだ。
人は「見た目だけの恰好」や「見慣れないもの」に引かれる傾向にあるが、「e-cigarette」は吸わないに越したことはない。
Birmingham大学の Duvid Thickett教授らの研究グループは、非喫煙者の肺細胞を使って「e-cigarette」の煙が健康に与える影響を調べた。
すると、肺に吸い込まれた煙は「炎症 (inflammation)」を発生させ、また「肺胞マクロファーゼ (alveolar macrophages)」にダメージを与えて、肺に入った粉塵、細菌、アレルゲンなどの除去機能を低下させていることが分かった。
これは、喫煙者や「慢性肺疾患 (chronic lung disease)」の肺に診られる症状に似る。確かに、ガンの発症リスに関しては、「e-cigarette」の方が紙巻きタバコよりも格段に低い。しかし、なにしろ、「e-cigarette」は販売されるようになってから20年も経っていない。この先、20年、30年とその煙を吸い続けるなら、「Chronic obstructive pulmonary disease (慢性閉塞性肺疾患)」に罹患する可能性が高くなると、Thickett教授は見る。
いかに「safer (比較的安全)」と言っても、健康に対して100%安全・無害であるはずがない。ここは「cautious scepticism (懐疑的な見方)」に立つことだ。「e-cigarette」に関する研究も、その安全性を立証する「科学的な根拠 (evidence)」も、未だ、十分とは言い難いからだ。
なお、Thickett教授らの研究結果の詳細は医学雑誌「Thorax」に発表された。
(写真は添付のBBC Newsから引用)