「ねえ、あなた (My honey!)」も、お爺ちゃんの、そのまたお爺ちゃんの時代 (19世紀後半)には「My cabbage!」と言った。その「cabbage」は、頭 (head)を意味する古仏語「caboce」に由来し、日本には幕末の頃に伝えられたとされる。かっては「玉菜(たまな)」とも呼ばれた。
「cabbage」は broccoli, kaleなどと同じ「cruciferous veg (アブラナ科の野菜)」。その昔、ヨーロッパのお医者さんは「cabbage」を食べるように、しきりに民間人に勧めたとある。
「cabbage」は、もちろん植物繊維 (dietary fibre)が豊富で、モンシロチョウ (cabbage butterflies)も、その名のとおり、大好きな野菜。また、胃薬 (いぐすり)の成分の「cabegin (キャベジン)」別名「Vitamin U」は「cabbage」から発見されたビタミンだ。
しかし、近年、「cabbage」が体に良いとされる理由は、他にある。「cabbage」に含まれる「indole-3-carbinol (インドール-3-カビノールI3C)」が、大腸ガンの発生を抑制することが分かったからだ。
Londonの「The Francis Crick Institute」の Dr Gitta Stockingerらの研究グループは、マウスを使った動物実験によって、この I3Cがどのようにして大腸ガンと戦うのかを分子レベルで明らかにした。(研究内容の詳細は、医学雑誌「Immunity」に発表。)
それによると、大腸の内壁は、皮膚と同じように、4. 5日で新たな内壁細胞と入れ替わる。その生体プロセスは極めて微妙で、何らかのミスがあると、ガン腫瘍や炎症を招く恐れがあるという。
ところが、「cabbage」を食べると、口の中に「indole-3-carbinol (インドール-3-カルビノールI3C)」が広がり、さらに胃の中に到達すると、その「stomach acid (胃酸)」と反応して「anti-cancer chemicals (抗ガン化合物)」に変わる。この化学物質は、大腸内壁の再生に関わる「stem cells (幹細胞)」と、大腸内の炎症を抑制する「immune cells (免疫細胞)」に働いて、たとえ、ガン腫瘍が発生しかけても、これを抑えてしまうという。
いわば、「cabbage」に含まれる I3Cは、大腸ガンにとって敵 (かたき)のような存在だった。
ただし、Dr Stockingerのお勧めは、
"Make sure they're not overcooked, no soggy broccoli."
[ キャベツ類は、間違っても、煮すぎないように。ビチャビチャのブロッコリはダメ。]
(写真は添付のBBC Newsから引用)