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「座り過ぎ病」、「心の病」の特効薬:それは体を意識して動かすこと (BBC-Health, August 9, 2018)

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 縁起ものの「だるま」の由来となった「達磨大師 (Bodhidoharma)」は中国禅宗の祖。今から約1,600年前に洞窟の岩壁に向かって座禅を続け、悟りを開いたとされる。

 しかし、達磨の所業は、「運動不足 (physical inactivity)」の最たるもの。現代人が達磨大師のまねをして座ってばかりいては、心臓疾患、脳卒中、糖尿病にガンの発症リスクが高まる。そればかりではない、悟りを開く前に「メンタルヘルス」に異常を来してしまう。
 そうでなくとも、現代人はエレベータや掃除ロボットが大好きで、子どもまで四六時中スマホ・ゲームに夢中になるご時世だ。「Public Health England (英国公衆衛生センター)」の報告書によると、UKの女性の50%、男性の3人に1人が座り過ぎで、何らかの健康障害を受けているという。いわゆる「sitting diseases (座り過ぎ病)」だ。

 さらに、Yale大学のDr Adam Chekroudらの研究グループは、被験者約120万人の日常の運動量とそのメンタルヘルスの状況を調べ、両者の間には明確な関連性があったと医学雑誌「The Lancet Psychiatry Journal」に発表した。

 メンタルヘルスの異常あるいは「心の病 (mental health problems)」とは、慢性的なストレス (chronic stress)、睡眠障害 (sleep disorder)、気分の落ち込み (low mood)やうつ病 (depression)などの精神疾患だ。

 しかし、Ⅰ日当たり45分間の運動を週に 3 - 5回続けると、心の病の発症リスクが減少し、1日置きに30-60分の運動を続けても、効果は顕著に現われた。なお、NHSのガイドラインによると、健康のためには少なくとも週に150分間のサイクリング、早歩きなどの「中程度の有酸素運動 (moderate-intensity aerobic exercise)」が必要とされる。

 ただし、Dr Chekroudらの研究では、1回の運動が 90分を越えたり、月に 23回以上の運動を行なうと、メンタルヘルスには逆効果になることも分かった。ややもすると、人は運動にのめり込んで「addicted to exercise (運動中毒)」になりかねない。毎日、夜明け前に起床して、何㎞も走ることなどが、必ずしも健康に良いとは限らないのだ。

 なお、運動 (exercise)は「physical activity (体を動かすこと)」だったら、何でも良い。床の雑巾掛けなどの「housework (家事)」、子どもをだっこしたり、一緒に遊んだりの「子どもの世話 (looking after the children)」も立派な運動になる。「gardening (ガーデニング)」に「dancing (ダンス)」、通勤時の「brisk walking (早歩き)」、会社やデパートの裏階段を駆け上がることでもいいし、スーパーの買い物をカートに入れずに持ち歩くのも運動になる。要は、各人が、自分の生活スタイルに合った運動を無理なく、忘れずに取り入れること。それが継続のコツでもある。20分、30分がだめなら、10分だけの運動でも良しとされる。

 さらに、注意点をあげると、

1.ちょっと息が弾み、ちょっと汗をかくような体の動かし方も効果的。
2,無理をしないこと。無理はケガを招きやすい。また、そのような運動は長続きしない。
3.手や腰の動き,力の入れ方を意識する:「mindful exercise (意識した運動)」を心がける。
4.人間はコンピュータの前にじっと座ったり、怠けるために進化した生物ではない。体を動かすことが本来の姿だ。
  
追記:この一文をまとめるに当たって、以下の記事も参照した。記して謝意を表したい。
The Guardian:Oct 3, 2017
「What's the ultimate way to defy depression, disease and early death? Exercise」

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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