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医者の内輪喧嘩で手術ミス:死ななくともいいのに患者が死亡! (BBC-Health, August 4, 2018)

https://ichef.bbci.co.uk/news/936/cpsprodpb/EB5C/production/_102825206_0921fd70-22c9-4ad4-8fcc-1eb22c439acc.jpg

 人にとって、心の拠り所は宗教(寺社)や聖職者・牧師 (priests)であり、治安の拠り所は警察であり、教育の拠り所は文部科学省・大学・学校であり、医療や健康の拠り所は病院・医者であり、スポーツではチームの責任者・監督であるはずだ。拠り所の信頼が崩れたら、社会は「混乱状態 (chaos)」に陥る。
 
 ところが、長い間、人々から尊敬されてきた聖職者・牧師も、実は子どもの性的虐待者であったことが、US, UK, 豪州で次々に暴かれた。また、どこかの国では、警察が犯罪を犯し、教育機関の司令塔が悪事を働き、スポーツ選手の指導に当たる監督が常軌を逸した行為に走って、これを恥じない。

 一方、情報に関して、人々が絶大な信頼を寄せる新聞。特ダネに凝り過ぎて、過去にはその信頼を裏切ることも少なくなかった。また、一部の新聞は、公平・公正で正義を貫く報道を看板に掲げつつ、大衆受けのする「高校野球」の試合結果にその紙面を大きく割く。しかし、一体、その高校で、どのような教育または野球の練習が繰り広げられているのかについては、ほとんど関心を示さない。少なくとも、この20数年間、加熱する高校野球あるいはスポーツ界全体のダークサイドに光を当てた記事は、目にしたことがない。

 夜明け前から、そして太陽が沈んでも、なお、常人とは思えない奇声・怒声をあげて、野球の練習に興ずる高校生。さらに、騒音規制、環境法令など聞く耳を持たないチームの責任者、学校関係者。文科省は、日大アメリカンフットボール部事件後、ようやく、「スポーツ教育改革」、「法令遵守」、「スポーツ倫理」などの文言を表に出すようになった。

 試合に勝つことだけが重視される余り、試合に勝つためには「大事の前の小事」がまかり通り、法令、環境、人権、ルールまでも無視する姿勢、社会背景は、決してスポーツ関係者だけに責任があるとは思えない。

https://ichef.bbci.co.uk/news/800/cpsprodpb/1608C/production/_102825209_05e76e3b-2903-431f-ba24-591963e497a0.jpg

 さて、Londonの「St Georg's Hospital (セント・ジョージ病院)」の「a leaked document(すっぱ抜き記事)」にも、呆れる。
 「St Georg's Hospital」と言えば、創立1733年、ベッド数1,300の、UKでも指折りの歴史と先端医療を誇る大病院だ。(なお、1733年は享保18年に当たり、杉田玄白が生まれた年でもある。)

 その病院の心臓外科 (cardiac unit)で手術を受けた患者の死亡率 (mortarity)が、なぜか、国全体の心臓外科手術の平均死亡率2%の約 2倍 (3.7%)だった。その原因がひどい。部局に所属する医者の互いに「罵り合う内輪げんか (toxic rows)」で手術がうまくいかず、患者が死亡していたのだ。

 外部審査 (external review)の委託を受けた、前NHS England副医長 Mike Bewick教授は、心臓外科部局のスタッフ39名に聴き取り調査を実施し、外科手術で死亡事故が多発する事由ならびに部局の改革案について報告書をまとめた。

 その報告書によると、「St Georg's Hospital」の心臓外科部局は、「2つの陣営(two camps)」に分かれて、まるで「部族主義的な活動 (tribal-like activity)」に明け暮れていた。そこは、「persistent toxic atmosphere (執拗な毒々しい雰囲気)」に包まれ、得体の知れない「dark force (ダーク・フォース)」に取り憑かれたようでもあったという。
 これでは、患者の手術を担当する「部局スタッフの安全性 (internal security)」は不適切 (inadequate)と、Bewick教授は指摘する。

 患者の生死を左右しかねない心臓外科手術の医者が、互いに罵り合って(rows)いては、うまくいくはずの手術も、うまくいくはずがない。「St Georg's Hospital」の心臓外科部局は、「内部的にも外部的 (対患者) (both internally and externally)」にも「機能不全(dysfunctional)」に陥っていたのだ。
 Bewick教授が、報告書の中で「radical solution (抜本的な組織改革)」を求めたのは、言うまでもない。

 なお、「St Georg's Hospital」心臓外科部局の真実を、いの一番に取り上げて、医療体制のあり方に警鐘をならしたのは「The Times」であったそうだ。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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