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擦り傷、切り傷は洗浄し30分間放っておけ!:ワセリン軟膏はダメ (BBC-Health, June 26, 2018)

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 これだから、医者は信用できない。れっきとした「The American Academy of Dermatology (アメリカ皮膚科学会AAD)」が、擦り傷 (scrapes)、切り傷 (minor cuts) の治療法として勧めてきたのは、傷口にたっぷりと「petroleum jelly (ワセリン軟膏)」を塗りたくること (slathering)。ワセリンが傷口の乾燥を防ぎ、痂(かさぶた)も小さくなり、後で痒くならずに済むというのが、その理由だ。なお、日本で販売されている軟膏には、成分表(欄)に記載されていないが、主成分はワセリンのものが多い。

 イギリスの NHSの病院でも、治りかけた「外科創傷 (surgical wounds)」の患者には、ワセリン系軟膏が使用され、ラグビーなどの擦り傷・擦り傷などが絶えないスポーツでは、ワセリン軟膏は救急箱の常備薬として欠かせないものだった。

 ところが、医学雑誌「Clinical Investigation(臨床研究)」に発表された最新の研究結果によると、傷口に対するこのワセリン軟膏の使用が、実は間違っていたことが分かった。

 Leeds大学のRobert Ariens教授らの研究グループは、ヒトと動物の皮膚細胞を使って皮膚の傷口が修復される過程を詳しく調べた。

 すると、次のようなことが明らかになった。
 皮膚に傷ができると、血液が凝固(clotting)し、微細な繊維状のタンパク質膜「fibrin(フィブリン)」で傷口が覆われる。この膜は空気やウイルスを通すが、細菌は通さないため、細菌感染 (microbial infections) のバリアとなる。バリアは少なくとも12時間機能し、この間に免疫システムは、傷口に援軍の白血球を呼び寄せて、細菌感染との臨戦態勢を整えることができる。
 しかし、折角のバリアも、ワセリン軟膏を塗りたくると、痂(かさぶた)に孔があいてボロボロになってしまうのだ。

 したがって、Ariens教授の勧める最適な傷の手当は、

"If you get a scrape or a cut it is best to let it clot for half an hour to let the film form. Do clean if it needs it, but the clot will make its own perfect plaster."

[ 擦り傷・切り傷ができたら、血が凝固して痂 (タンパク質膜) ができるまで、30分間待つこと。もちろん傷口が汚れていたら、良く水洗いする。血が固まると、完璧な絆創膏になってくれる。]

 その後は絶対にワセリン軟膏などは塗らないこと。ましてや、一度、蓋を開けて使用してから、カップボードなどにしまい込んでいた軟膏を探し出して、これを塗るなどは「細菌感染」のリスクを高めるだけだ。

 なお、冬期になると高齢者に多い「leg ulceration(下肢潰瘍)」も問題だ。「oil-based substances(油性軟膏)」を患部に塗ることによって、本当に細菌感染が食い止められているのか、また、それが最善策なのか。Ariens教授らの研究結果は、なかなか治りにくい皮膚疾患の疑問の解明に向けて、大いに役立ちそうだと言う。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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