こんなことがあるだろうか。親が貧しさの余り、子どもを「neglect (育児放棄)」し、子どもが命をつなぐのは小学校の給食だなんて。それも、世界で最も「社会福祉」が充実しているとされるイギリスで。
Englandの北の端 Cambriaから最南端の Hampshireに至る「inner city schools (スラム地区の小学校)」の先生が、子ども達のサバイバル・サポートに追い回されている。
薄汚れた服を着て登校し、家庭ではまともな食事を摂っていないため、青白い顔をして、髪はボサボサの、生気がない栄養失調の子ども達。学校では、そんな子ども達に 清潔なユニフォームを与え、汚れた服は洗濯し、靴やコートまで用意してあげる。
また、学校には「food bank」が設置され、給食の他にも「食糧」を給付する。空腹に絶えかねた子どもが、学校の食べ物を盗んでポケット一杯に詰め込んでも、「survival (生き延びる)」のためと、学校は黙認。
こんな状況では、小学校が長期の休みに入ったら、子ども達は飢えてしまう。このため、夏休み期間中も「summer schools」を開催して、子ども達に給食を振るまっている。その間、教師はボランティアで働くことを余儀なくされる。
Hampshireの港湾都市「Portsmouth (ポーツマス)」のスラム地区で小学校長を務めるMr Howard Paneによると、Portsmouthは 3月初旬に大雪が降って、多くの学校が休校に追い込まれた。ところが、Mr Payneは、空腹状態の子ども達を思って休校にはしなかった。案の定、大雪のなかを約45%の生徒が登校したという。
英国の貧困問題は深刻だ。全人口 6,564万人の約 30%が「貧困ライン (poverty line)」以下の生活を強いられている。このため、30人学級の中で 9人の家庭が貧困層。
貧困家庭の一部はプライドが高く「welfare (生活保護)」を申請しない。あるいは仕事を幾つか掛け持ちして働いているため、「benefits system (社会保障システム)」の受給資格を失っている。このため、結局、家族みんなが、生活保護受給費以下の生活費で暮らしすことになる。
このような家庭の子どもにとって、学校が休みの土曜、日曜日は最悪。月曜日の朝、学校に登校した子ども達は、お腹がペコペコで、9時半過ぎには疲れ切った様子を見せるという。
どうして、こんなことになってしまったのか、不思議に思う。今のイギリスの国力で、腹ぺこの子ども達を救えないなんて。
(写真は添付のBBC Newsから引用)