これは「異星人 (non-human primates)」のミイラか。身長わずか 6in (約15cm)で、頭は細長く円錐形 (elongated cone shape)。肋骨 (ribs) の数は、人間に比べて 2本少ない。しかも、骨密度などから判断して、その年齢は 6 - 8歳と推定される。
そのミイラは、2003年、チリの「Atacama desert (アタカマ砂漠)」に埋もれて廃虚となった町「La Noria (ラ・ノリア)」で発見された。そこは、 かって、硝石の採掘で人々が行き交った鉱山の地。発見時、ミイラは、白い布で包まれ、紫色のリボンが掛けられていたという。その後、スペインのコレクターがこれを購入し、保管していた。ミイラの名は「Atacama」に因んで「Ata (アタ)」と呼ばれた。
さて、Stanford大学の Garry Nolan教授らの研究グループは、Ataから採取した骨のサンプルについて、詳しい DNA解析を実施し、その出生のなぞ解きにチャレンジした。
すると、浮かび上がったのは「genetic mutations (遺伝子の突然変異)」。そこには、これまで専門家が見たこともない、少なくとも 7種の「single nucleotide variants (単塩基置換変異 SNVs)」が確認された。これによって「dwarfism (小人症)」、[scoliosis (脊柱側湾症)」をはじめ、筋肉・骨格に異常を来したと考えられるという。
そのミイラの年代も意外だった。死亡してから発見されるまでの時間の経過は、たかだか40年。また、DNA解析によって、Ata (アタ)は紛れもなくチリ人と分かった。
Nolan教授は、これは赤ちゃんのミイラであり、「stillborn or died immediately after birth (死産か、生まれてすぐに死亡した)」と見る。
日本には、よく知られた「いっすんぼうし」の話がある。Ataが生き延びたなら、いっすんぼうしのように大活躍ができただろうか。
なお、以下の「いっすんぼうし」の絵本はすばらしい。
・石井桃子(文)、秋野不矩(絵):いっすんぼうし、複音感書店、1965
また、「The Guardian」の Mr Ian Sampleがまとめた以下の記事は傑出している。BBCの記事同様、読者の皆さんにも一読を勧めたい。
・Genetic tests reveal tragic reality of Atacama 'alien skeleton
(写真は添付のBBC Newsから引用)