一昔前と違って、お酒は酒屋 (liquor shops) に行かなくとも、その辺のスーパーで幾らでも売っている。それは、スコットランドでも同じこと。
ところが、Edinburgh大学の Dr Niamh Shorttらの研究チームが Glasgow大学と共同で調査したところ、貧困地域の酒類販売店 (premises selling alcohol) の数は富裕地域に比べて圧倒的に多いことが明らかになった。自宅近くのお店でケース単位でお酒が買えたら、ついつい飲み過ぎてしまう。すると、どうなるか。
研究チームが 28,000人を越える「National Health Survey (国民健康調査)」データを分析したところ、貧困地域 (deprived areas) では「alcohol-related harm (アルコール関連疾患)」の罹患率が高いことも分かった。
また、これまで、国民のアルコール消費を抑えるために政府が進めたメディア・キャンペーンやアルコール商品に張り付けた「warning labels (飲み過ぎ注意喚起ラベル)」などは、アルコール消費者の健康改善に対して大した効果を挙げなかったことも示された。
貧困層のアルコール多量摂取を抑制し、国民全体の健康を保持するためには、「抜本的な政策の見直し (radical policy changes)」が必要だと言う。
この 5月 1日、Scotlandでは「minimum unit pricing policy (アルコール最適価格政策)」が施行、導入され、これによってアルコール類の安値販売が規制されることになる。
しかし、研究者らの意見は、「それだけでは不十分」。貧困地域の酒類販売店の数を減らすことも必要だと主張する。
Scottish (スコットランド人)は、England、Walesの人に比べて、平均 20%もアルコールを多く消費している。Scotlandは北の国だ。冬は寒いだろう。それに、貧困はつらい。
けれど、給料が少ないから、家計が苦しいからと、「やけのやん八」で酒を飲む。それでは「アルコール依存症 (alcohol abuse)」なり、やがて体を壊し、家庭の不幸・貧困を深めるだけだ。
なお、Dr Shorttらの研究結果の詳細は「Annals of the American Association of Geographers」に発表された。
(写真は添付のBBC Newsから引用)