相手の気持ちに思いが及ばなければ、我がままで社交性に欠け、優しさなど微塵もない冷酷な人間となる。また、アスペルガー症候群、自閉症 (autism) の人は自分の心の中に閉じこもりがちで、他人との打ち解けた会話は苦手だ。
人類、いや人類に限らず狼・猿などの仲間も、集団を作って厳しい自然の中で生き延びてゆくためには、他人(他者)が怒っているかあるいは悲しんでいるのかを判断することは、極めて重要であったと考えられる。
この他人の感情に思いを馳せる能力が「empathy (共感)」。これまで,その能力は「childfood (子どものころ)」の親の「upbringing (躾け)」や「life experiene (人生経験)」で身につくもの、すなわち後天的な能力と見なされてきた。
ところが、Cambridge大学の Mr Varun Warrierらの研究グループが被験者46,000人の「共感力 (empathy) と遺伝子 (genes) の関係」を調べた結果、共感力には遺伝子が関与していることを突き止めた。つまり、「相手を思いやる心」は、先祖から受け継いだ「生まれつきの (inherited)」の先天的能力であった。
正確には、遺伝子 (genes) が共感力に関与する割合 (貢献度) は約 10%。残る90%は、「生存・生活環境の要素 (environmental factors)」が握る。
ただし、調査は「self-reported survery (自己申告方式)」のアンケート調査(questionnaire) で実施されたため、「empathy quotient (共感指数、EQ)」解析の精度には、疑問が残る。
また、強い共感を示す人とそれほど共感を示さない人との間には、明確な遺伝子の違いが認められたが、共感力を直接支配している特別な「empathy genes (共感遺伝子)」を検出することはできなかった。
なお、Mr Warrierらの研究結果の詳細は「Translational Psyciatry」に発表された。
(写真は添付のBBC おNewsから引用)