雪解けの頃になると、庭の小枝の先に残っていた木の実もほとんど小鳥に食べ尽くされてしまう。七竈(ナナカマド)や南天の紅い実、夏ハゼの黒い実。ルビーのような青木の実も、いつの間にか1つ残らず枝から消えて、小鳥が最後に向かうのは、危険な地面の上を、這うように繁茂する藪柑子 (ヤブコウジ) の小さな紅い実。
毎年、この時期になると、「ヒヨドリ (brown-eared blublus)」が、次から次へと庭にやって来ては、かろうじて残った木の実、草の実を漁り、幾つも幾つも口の中に入れて飛び立ってゆく。
今年の冬は、極端に寒い日があった。一部の地方では屋内の水道管が凍って破裂するほどだった。ヒヨドリも冬を生き抜くのに必死だった。しかし、ある酷寒の朝、庭でエサを探し回っていた見覚えのあるヒヨドリも、ついに力が尽きて、玄関先で息を引き取った。小鳥とは言え、その命が消えるのを目にするのは、つらい。
ところで、イギリスでは、庭にやって来る野生の小鳥に病気が蔓延し、問題になっている。「ZSL's Institute of Geology (ロンドン動物学会 動物学研究所)」の Dr Becki Lawsonらの研究グループは、過去20年間にわたる野鳥の生態調査データを分析し、その結果を「Philosophical Transactions of the Royal Society B」に発表した。
Dr Lawsonらの研究によると、野生の小鳥に広がっている主な病気は「parasite infection(寄生虫病)」、「bird pox (鶏痘)」、「salmonella (サルモネラ感染症)」の3種。
Finches (ウソ、シメの仲間) や doves (野鳩)、pigeons (公園鳩) は「寄生虫病」に罹りやすく、また、ウイルス性の感染症「鶏痘」がgreat tits (シジュウカラ)を中心に広がっている。この病気に感染すると、小鳥の体に「warty-like limps (赤く腫れたイボ状の塊)」ができる。
過去10年間で、これらの病気は「dramatically and unpredictably (劇的かつ予測をはるかに超えて)」野生の小鳥たちに広がった。
"Common signs that a wild bird is ill include unusually fluffed-up plumage and lethargy."
[ 野生の小鳥が病気に罹ると、体全体の羽毛を異常なほどに膨らませ、動きも鈍くなる。これは、よく見られる、小鳥が弱っているサイン。]
庭にエサ場を作っている家庭では注意が必要だ。エサ場の小鳥の糞や小鳥の吐き戻したエサあるいは小鳥どうしの接触で、病気の感染が広がってしまうという。
小鳥が体を丸く膨らませて、木の枝に留まり、その動きも鈍いと、つい、それは巣立ったばかりの小鳥かと思ってしまう。しかし、小鳥が病気で弱っていることもある。これを捕まえたり、あるいは死んだ小鳥には絶対に素手で触れてはいけない。
(写真は添付のBBC おNewsから引用)