Lilliput (リリパット) 国では、卵を「丸みの大きい方から割るか、小さい方から割るか」で戦争が勃発し、王さまの命令に背いて「丸みの大きい方」から割った人民 1万1千人が処刑される。Jonathan Swift は「Gulliver's Travels (ガリバー旅行記)」を1726年に出版し、どうでも良いことにこだわってバカバカしい争いに明け暮れる連中を皮肉った。
それから 290年以上も経ったというのに、イギリスではまだ「どうでも良いこと」にこだわり、争っている。今度は、「卵 (eggs)」ではなく、「スコーン (scones)」。その上に載せるクリームとジャムは、クリームが先か、ジャムが先か。
イングランドの南西 Cornwallのほぼ中央に、人口約 15,000人の町 Bodmin (ボドミン) が位置する。この町の丘には敷地 360haの広大な「Lanhydrock (ランハイドロック)」のお屋敷が広がり、現在は「Lanhydrock National Trust」によって管理されている。
その管理団体Trustが、Web上に「Mother's Day Party (母の日パーティ)」の広告を載せた。『来る5月13日 (日)、「Lanhydrock」の「Servants' Hall restaurant」にてMrs Beeton流の「Victorian recipes(ビクトリア料理)」とQueen Victoria (ビクトリア女王) が大好きだったスコーンをご一緒に。』
ところが、その広告記事の写真に映し出されたスコーンに、苦情が殺到した。写真のスコーンでは、クリームが先に塗られ、その上にジャムが載っている。これは「Cornish の伝統的な食べ方」ではない。隣の州「Devon (デヴォン)流だと、Cornwallの地元住民は息巻いた。辛辣な非難は Web上で約 300件に及んだと言う。その中には「horrifying (ゾッとする)」、「make them feel sick (気分が悪くなる)」などの言葉も出る始末。
Trustは余りの「反響」に謝罪文を発表し、「#JamFirst」のバッジまで作って、パーティ当日は、授業員にこのバッジを胸に付けさせて、Cornwall流スコーンの提供に徹すると約束した。
さらに、スコーンの写真を間違えたスタッフには、罰として、徒歩で州境いの「Tamar (テーマー川)」を渡り、Devonまで行って来るように言いつけたと、わざわざ「お仕置き」を説明したそうだ。
なお、添付の BBCの記事は、「事の顛末」を省略し過ぎてわかりにくい。以下の「sky news」も参考にした。
・Sconegate in Lanhydrock: Cornish cream tea lovers demand #JamFirst
(写真は添付のBBC Newsから引用)