心臓の少し上に「胸腺 (thymus)」がある。この胸腺は、免疫システムの司令塔T細胞(T cells)を生み出す大事な臓器だ。子どもの胸腺は拳 (こぶし) ほどの大きさがある。しかし、20歳を過ぎると、普通の人の胸腺は見えなくなるほど縮まり、活発に働くT細胞をつくれなくなってしまう。
"The immune system declines by about 2-3% a year from our 20s, which is why OLE people are more susceptible to infection, conditions like rheumatoid arthritis and, potentially, cancer"
[ 免疫システムは、20代から1年当たり 2-3%の割合で、その機能が減退する (70代になると9割減)。このせいで、高齢者は、感染症や関節リウマチに罹りやすくなり、また潜在的にガンの発症リスクも高くなる。]
ところが、Birmingham大学「The Institute of Inflammation and Ageing (炎症・老化研究所)」の Janet Lord教授らの研究グループは、長距離サイクリスト125名の血液を調べて、その結果に目を見張った。なんと、80代のサイクリスト (cyclists) の T細胞の働きが、20代の若ものと同じレベルにあったのだ。
これで、人は年をとっても、サイクリングなどで持久力をつけると、20代のときと同じように正常なT細胞をつくり出せることが証明された。
つまり、運動をすることが、「flu (インフルエンザ)」の抵抗力を高めることにもつながっていた。
"You don't need to be a competitive athlete to reap the benefits or be an endurance cyclist - anything which gets you moving and a little bit out of puff will help."
[ しかし、だからと言って(免疫力を高めるために)、何も競技選手になる必要もなければ、(何百kmも走るような) 持久力のあるサイクリストになる必要もない。何でも良いので体を動かし、ちょっと息切れするくらいの運動だけで効果があるのだ。]
なお、サイクリストの体を調べると、筋肉量も筋力も衰えておらず、体脂肪も若い人と同じ程度であったという。
この Lord教授らの研究結果の詳細は、医学雑誌「Aging Cell」に発表された。
(写真は添付のBBC Newsから引用)