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こんなカクテルに曝(さら)されて!:現代人の体は痛んでいる (BBC-News, March 2, 2018)

https://ichef.bbci.co.uk/news/834/cpsprodpb/122FD/production/_100239447_c0344887-traffic_in_london_uk-spl.jpg

 鉛Pb、水銀 Hg、ヒ素 As、カドミ Cd。いずれの重金属元素も人間の体に毒だ。しかし、これらの有毒な元素を大量に含んで、まるで毒のカクテルのようになった鉱毒水が、鉱山から田畑、川に流れ出ては、多くの人命を奪った。ほんの 150年前の明治初期のころの話だ。何しろ、カクテルだから、どの元素に責任があるのかは、あいまいになる。
 このことが、廃液を垂れ流す企業側に口実を与え、その後の昭和の時代になっても多くの健康被害をもたらす。神岡鉱山イタイイタイ病チッソ(株) の水俣病も、企業側は、何の責任もないと何十年も法廷で争った。

 それは大気汚染 (air pollution) とて、同じようなものだと言う。現代人は、大気汚染だけに体を痛みつけられているわけではない。大気汚染の他にも「光害 (light pollution)」や「騒音公害 (noise pollution)」が、環境汚染カクテルとなって、複合的に人体に作用したとき、健康はどのように損なわれるのか、まったく分かっていないのだ。

"While air pollution does not kill people directly, it can shorten their lives by undermining the health of people with lung problems and heart disease."

[ (もちろん)大気汚染が直接の原因で死ぬことはない。しかし、大気汚染は肺疾患や心臓病を引き起こして人の健康を蝕(むしば)み、その寿命を短くしてしまう。]

 しかも、大気汚染物質が一度体内に侵入すると、ジワジワと細胞を冒し、症状は「慢性疾患 (chronic condition)」となることが多い。

 飲み水が汚染され、魚・野菜が汚染され、大気までが窒素酸化物NOx、粒子状物質で汚染された。さらに静穏な日常生活や睡眠までも「光害」、「騒音公害」で妨げられては、さすがの人間も病気がちになるはずだ。今後、国の医療費は増え続けることはあっても、下がることなど考えられない。

 Dame Sally Davies教授は、国民の医療を担うNHSが先に立ってこの問題に取り組み、デーゼルの救急車などは使わないようにすべきだと主張する。救急車 (ambulances)が窒素酸化物をばらまいて「呼吸器系疾患 (respiratory disease)」の原因をつくっては本末転倒。

 環境汚染と健康、そして医療システムの問題は、強く結びついている。
 おそらく、フランス革命のような「抜本的な思考の変革」がない限り、どの国の政治家も企業も医者も医薬品メーカーも、己の利益を度外視して、一般国民の健康に真摯に取り組もうとはしないように思える。歴史が教えることだ。


                (写真は添付のBBC Newsから引用)

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