イングランドの医療機関で処方される薬の数は年間 11億 5千万件。しかし、正しい薬が患者の手もとに届かい処方ミスが続出している。その数、年間 2億 3,700万件。なんと、患者に渡される薬の5ヶのうち1ヶはまちがえた薬だという。まさに､どうしようもない状態だ｡間違いの原因は､医者 (GP)､薬剤師(pharmacists)､病院(hospitals)、介護施設(care home)の全てにある。
Manchester, Sheffield, Yorkの3大学の共同研究による調査によると、薬の処方ミスによって、発生する年間当たり被害者数は以下のとおり。
・6,640万人 ：中度あるいは重度の健康障害
・700人 ：直接的な原因で死亡
・22,300人 ：間接的な原因で死亡
入院治療(hospital care)にも、約4700万件の投薬ミスが発生しており、その中には、外科医の麻酔薬(anaesthetic)ミスが見つかっている(極めて危険な医療ミス)。
なお、処方ミスの内容は、次の3種に分類される。
・wrong medications being given(違う薬を処方)
・incorrect doses dispensed(1回分の服用量の間違い)
・delay in medication being administered(服用時間の間違い)
つまり、病院の治療では、患者に「間違えた薬」を、「間違えた量だけ」、「間違えた時間」に服用させていた。これで治る病気など、あるはずがない。
「Health Secretary(保健医療相)」のMr Jeremy Huntは、この大規模な医療ミスの問題について、一般社会にもっとオープンにする必要があると述べる。しかし一方で、今後も、「genuine mistakes(不本意な単純ミス)」による医薬品取り違いに関しては、「薬剤師(pharmacists)」ら関係者の法的責任を問わない方針だ。
「The Royal College of General Practitioners(王立一般医大学)」のHelen Stokes-Lampard教授も医療関係者を擁護し、処方ミスは、医療現場が「intense pressure(極度のプレッシャー)」に曝されていることに起因する主張。
しかし、これでは、間違えた薬を渡され、間違えた指示通りに服用して、健康を損ね(6,640万人)、あるいは死亡する患者(23,000人)は浮かばれない。どうやら、Englandでは「人命は何よりも尊い」の思想はないようだ。
（写真は添付のBBC Newsから引用）
