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太陽フレアのメカニズムがわかった!:磁気嵐の予測が可能に (BBC-Science & Environment, February 8, 2018)

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 ふつうの日常生活では、物理を知らなくとも大して支障がない。しかし、「なぜ」のふしぎに胸をときめかすことも少なくなるのは必定。いろんな「ときめき」がある方が人生は楽しいはずだ。
 
 太古の昔から、どの古代文明にあっても、人は太陽を崇め、そしてまた太陽の恵みをふんだんに受けてきた。核融合反応で膨大なエネルギーを生みだし、万物をはぐくむ母なる太陽は、ほとんど神に近い絶対的なものだった。
 しかし、その太陽も、ときに癇癪(かんしゃく)を起こして暴れる。「太陽フレア (solar flares)」と呼ばれる爆発を起こすのだ。

 太陽の表面を覆っている高温ガス層のコロナで、この爆発が起こると、プラズマ (高エネルギー荷電粒子)が噴出し、磁気嵐 (geomagnetic storms) となって地球を襲う。その都度、人工衛星や送電網 (power grids) などは大変な被害を受けている。

 しかし、この爆発はとてつもなく大きな太陽の物理現象だ。なぜ、フレアが発生するのか説明できなかったという。
 このなぞ解きに挑戦したのはパリの「École polytechnique」「The CNRS (フランス国立科学研究所) 」の Dr Tahar Armariらの研究チーム。

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 Dr Amariらが注目したのは、太陽表面の強力な2種類の磁場。「magnetic rope (磁気ロープ)」と「magnetic cage (磁気ケージ)」が作りだす複雑な磁場空間だ。この磁気エネルギーが熱エネルギーに変換されるため、コロナの温度は太陽表面 (約6,000度) より高く、約10,000度。

 磁気ロープは磁気ケージの中に閉じ込められて存在するが、そのロープの束が極端に捻れているため、磁場そのものが不安定で、磁気ケージが弱まると、その磁場を打ち破ってしまう。すると閉じ込められたプラズマが一挙に噴出する。これが「太陽フレア」の発生メカニズムだ。

 Dr Amariらは、コロナの磁場構造 (magnetic structures) モデルを構築し、NASAの「Solar Dynamics Observatory spacecraft (太陽観測衛星)」から送られたデータに基づいて、スーパーコンピュータでシミュレーション計算を行なった。
 すると、磁気ケージが弱くなると、2014年に観測されたような太陽フレアも発生することが証明されたという。

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 今後は、太陽表面の磁場構造を注意深く観察し、磁気ロープと磁気ケージに変化が現われるときが、磁気嵐の前兆と捉えることができそうだ。
 ただし、現在のところ、予測スピードを早めようとすると、精度は落ちるという。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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