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DNA転写酵素「RNAポリメレーゼ」の姿:印象派ゴッホが描い たか? (BBC-Health, January 17, 2018)

https://ichef.bbci.co.uk/news/772/cpsprodpb/13A76/production/_99620508_vannininaturernapoliiicreditphosphobiomedicalanimation.png

 地球上の全ての植物・動物の細胞は、細胞分裂して増殖する。人間の体の細胞分裂の際には、「genetic instructors (遺伝的指令)」が組み込まれた DNA 塩基配列を正確に複製する必要がある。しかし、なんらかの原因で、この作業にミスが発生すると、ガン腫瘍細胞 (cancerous ells) がつくり出され、これは正常細胞よりも急速に増殖して、コントロール不能となる。

 この細胞分裂過程で重要な役割を担うのが、DNA合成酵素の「RNA polymerase Ⅲ (RNAポリメラーゼⅢ)」。この酵素は、正常な細胞のDNA情報を確実に読み取り、原物とまったく同じDNAを精密に転写 (transcription)する分子機構 (molecular machinery)。

 細胞分裂に欠かせない酵素RNA ポリメラーゼⅢ」が、ガンに乗っ取られ (hyjacked)たら、ガンは暴走してドンドン進行する。逆に、壊れたコピー・マシンさえ修復できれば、ガン治療の効率は格段に上がるはずだ。
 ところが、これまで、この酵素の姿はよく分かっていなかった。

 「The Institute of Cancer Research (英国ガン研究」の Dr Alessandro Vanniniらの研究グループは、「cry-electron microscopy(極冷凍電子顕微鏡)」を使ってRNA polymerase Ⅲの詳細な立体画像 (3D image)」とその動きを撮影することに成功した。
 科学者の目の前に始めて現われた、その酵素RNAポリメラーゼⅢ」の姿に、みな驚く。

"It was definitely a Van Gogh." [それは、まさしく印象派ゴッホの作品のようだった。]

 これでようやく、酵素の正体も、そのDNA転写の具体的な方法も、実際に目で確認できた。この姿が崩れたときは、ガンが発生した証し。ガンに冒された酵素RNAポリメラーゼⅢ」を修繕する「新たなガン治療技術開発」に向けて期待が高まる。

                     (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com