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大学の誇大広告に警告:入学志願者向けPRは根拠なし! (BBC-News, November 15, 2017)

https://ichef-1.bbci.co.uk/news/800/cpsprodpb/3B50/production/_98748151_014219806-1.jpg

 大学改革、教育改革の名のもとに、世界の大学は長い間揺れ動き、1960年代には大学紛争さえ経験し、多くの若ものが血を流し、命さえ落とした。さらに、その改革に膨大な国家予算がつぎ込まれ、さまざまな議論が尽くされ、数々の高等教育に関する論文が執筆され、関係者の限りない努力が注ぎ込まれた。それなのに、資金の潤沢な超一流を除いて、ほとんどの大学は「market economy (大学運営の市場経済化)」と「academism (純粋な学問探究)」の狭間に放り出され、これから歩むべき確かな大学の道 (destination) さえ、見いだせないでいる。

 このような背景の中で、一部の大学は激しい市場競争 (marketing competition) に追い込まれ、入学志願者を募るために、大学間の「ほんのわずかな違い (marginal differences)」まで誇張し、越えてはならない一線を越えて大学案内に記載するようになった。そして、信憑性が疑わしいものまで現われた。
 
・文系大学、創造的な大学としてイギリスでNo. 1 : Falmouth Univ.
・卒業後の長期的な有望性ではイギリスでNo.1 : Teesside Univ.
・学生の満足度ではイギリスでトップ5に入る: Univ. of East Anglia
・世界のトップ大学1%に入る: Univ. of Leicester
・物理学の分野ではイギリスでNo. 1 : Univ. of Strathclyde
・Londonで最も近代的な大学。イギリスでトップ10に入る : Univ. of West London

 「The Advertising Standards Authority (英国広告基準局)」は、上記の6大学の「志願者向け大学案内」に「exaggerated claims (誇大宣伝文言)」があることを認め、早急に改めるように警告を発した。

 「The Higher Education Policy Institute (高等教育政策研究所)」所長の Mr Nick Hillmanによると、
"Universities should be careful about their claims, which need to be robust, truthful and useful."
[ 大学は、大学案内の文言(もんごん)に慎重であるべきで、その内容は率直で正直、かつ(学生にとって)有益でなければならない。]

 大学は、学問の、そして真理の探究の場である限り、「whiter than white (清廉潔白)」が要求される。一点の曇り・汚れも、やましいところなど存在しない「Sanctuary (学びの聖域)」であるべきなのだ。道理やルールに反することはもちろんのこと、どんな「まやかし」も、大学を腐らせる原因になりかねない。

 「Higher Education Communication Adviser (高等教育コミュニケーション・アドバイザー)」の Mr Charles Heymann は次のように述べる。

"It's tempting for marketing teams to push the boundaries as far as they can go in emphasising them. At some point, most universities will be in the top 10 or 25 for something."

[ 大学の入試担当者は、自らの大学の特徴を強調する余り、越えてはならない限界を超えてしまいがちになる。ある評価項目でトップ10に入っても、他も項目ではトップ25。それがほとんどの大学の実状だ。]

 さて、大学のランキングとは、一体、何を意味するのか。どのような人が、どのような資料をもとに、どのように決めているのだろうか。大学が公表する教員の論文数や授賞数、留学生数などのデータが、大学のランキングを左右しているとすれば、そのランキングが、学生にとって、一生に一度しかない人生最後の「学びの場」になぜ重要なのか、考えて見る必要があろう。「充実した勉学・研究」に没頭できること。それが学生にとって最も大切なことではないか。

 また、少なくとも論文さえ書いていれば、大学教員は評価され、少々の暴言、ハラスメント、ルール違反などは許されると思っている人がいたとすれば、それは大きな大きな勘違いだ。
                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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