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このヒトも「森の人」、でも別のヒト:類人猿の仲間が増えた! (BBC-Science & Environment, November 2, 2017)

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 「Edgar Alan Poe (エドガー・アラン・ポー、1800-1849)」はギャンブル好きで大酒飲み。しかし、その怪奇に満ちた短編推理小説「The Murders in the Rue Morgue (モルグ街の殺人)」のストーリーの展開には、度肝を抜かれる。何と犯人は、檻から逃げ出した「猩猩 (しょうじょう)」。つまりヒト科「orangutan (オランウータン)」だった。

 「orangutan」は「orang-utan」とも書かれ、「orang (man)」と「utan (wood)」の合成語。Malay (マレー語)で「森の人」の意味だ。1631年、東インド駐在のオランダ医師 Bontius によってヨーロッパに紹介されたのが、英語の初出とされる。その後、「orangutan」は狩りの対象となり、ヨーロッパ、アメリカ大陸で珍獣として飼われたり、見せ物にされた。さらに生息域に広がった森林伐採も重なって、この数百年の間に個体数は急減した。

 オランウータン属「Pongo」の仲間は、これまで「Sumatran orangutan (スマトラ・オランウータン)」と「Bornean orangutan (ボルネオ・オランウータン)」の 2種類だけと考えられてきた。
 ところが、1997年、スマトラ島の南タパヌリ (Tapanuli) の森林で発見されたオランウータンは、科学者の頭を悩ませた。どうやら、このオランウータンは違う種のようだというのだ。
 
 そして、発見から 20年が過ぎた。
 Zurich 大学の Michael Krützen 教授らと Liverpool John Moores 大学の Serge Wich教授らならびに「The Sumatran Orangutan Conservation Program (スマトラ・オランウータン保護プログラム)」メンバーの研究チームは、研究成果を科学雑誌「Current Biology」に発表し、その論文で、問題のオランウータンは新種であることを明らかにした。新種は「Tapanuli orangutan (タパヌリ・オランウータン)」と呼ばれることになった。

 この新種のオスの「独特な啼き声 (signature calls)」を音響学的に分析すると、他の2種とは「subtle differences (微妙な違い)」があり、その頭蓋骨 (skulls) にも「anatomical features (解剖学的な特徴)」があった。さらに DNA解析すると、遺伝子に「peculiarity (特異性)」が認められた。進化の過程で、約 7万年前に、ボルネオ・オランウータンから分化したと判断されるという。
 現在の生息数は約 800。IUCN (国際自然保護連合のレッド・リストには「Critically Endangered Species (絶滅危惧種IA類)」と登録され、「Zoological textbook (動物学の教科書)」に、早速、この新種が書き加えられることになる。

 これで、「great ape species (類人猿)」は次の 7種になった。

・Chimpanzee
・Bonobo
・Western gorilla
・Eastern gorilla
・Bornean orangutan
・Sumatran orangutan
・Tapanuli orangutan

 なお、「Edgar Alan Poe」と「江戸川乱歩(1894-1965)」は発音が「微妙に違う」。しかし、どちらもヒト科ヒト属の 「Homo sapiens」だ。
 

                   (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com