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心臓のオペ(手術)は午前を避けて!:合併症のリスクが高まる (BBC-Health, October 27, 2017)

https://ichef-1.bbci.co.uk/news/736/cpsprodpb/D6A5/production/_98494945_gettyimages-593305618.jpg

  心臓の手術 (heart surgery) と聞いただけで気を失ってしまいそうになる。しかし、どうしても、それが必要なときには、午前中のオペ (oprations ) は避けて、午後に回した方が無難。その理由を医学的に説明する論文が「The Lancet」に発表された。

 フランス「Institute Pasteur de Lille (リール・パスツール研究所)」の Bart Staels 教授らの研究チームは「心臓弁置換 (heart valve replacement)」の手術を受けた 596名の患者に対して、手術後 500日以内に発症した「合併症 (complications)」を調べた。なお、596名の半数は、午前中に手術を受けるようにランダムに割り当てられ、残る 298名はランダムに午後の手術に回された患者だった。

 すると、手術後に「heart attack (心臓発作)」、「heart failure (心不全)」などの合併症を発症し、あるいは死亡した患者の割合は、午後の手術組と午前と手術組では、以下のように 2倍の差があった。

・54人(18%):Morning surgery
・28人( 9%):Afternoon surgery

 さらに、肥満 (obesity)、2型糖尿病 (type 2 diabetes) の患者は、手術後の合併症の発症リスクが高いことも明らかにされた。

 心臓の手術中には、心臓に流れる血液を抑制するため、心筋 (heart tissue) に大きなストレスの負担が掛かる。しかし、人間の体の全ての細胞(cells)には「circadian rhythm (概日リズム)」すなわち「体内時計 (body clock)」があり、細胞の機能の働きは、午後に最高潮に達するようにセットされている。午前と午後の手術では、心臓の快復力が違うのだ。

 この事実を裏付けるのは、プロの運動選手が自己最高記録を達成する時間帯は午後に集中すること、また、逆に、心臓発作や脳卒中の発症リスクは午前中に高くなることなどだ。

 また、Staele 教授らは、患者の「cardiac tissue (心筋)」サンプルを DNA解析し、287の遺伝子 (genes) に「概日リズム」が存在することを突き止めた。
 目下、Staele 教授らは、心臓手術以外の外科手術にも、この細胞の概日リズムが影響を与えているのかについて研究中。

 この研究結果を確認するためには、さらに大規模な研究が必要とされる。しかし、今の段階で、手術の必要性が「non-urgent (切迫)」していなければ、細胞の機能リズムに合わせた「午後のオペ」が無難。

 なお、この1編をまとめるに当たって、以下の記事も参考にした。読者の皆さんには読み比べることを勧める。

・The guardian
「Afternoon heart surgery has lower risk of complications, study suggests」

                   (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com