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スーパーバグMRSA173種のゲノム特定:料金£120、1日で判明 (BBC-Health, October 26, 2017)

https://ichef-1.bbci.co.uk/news/834/cpsprodpb/13E31/production/_98475418_gettyimages-185071196.jpg

 「superbugs (スーパーバグ)」とは抗生物質の効かない耐性菌のこと。なかでも、世界中の病院で猛威を振るっているのが「MRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)」。鼻の中や皮膚に付着していることが多い。薬用クリームや「antiseptic baths (殺菌バス)」で除菌することも可能だが、健康な人は、MRSAが検出されても、ほとんど「symptoms of infection (感染症状)」を示すことはない。

 しかし、体力が弱まった手術後の患者の傷口から、この MRSAが体内に侵入すると、肺炎や敗血症などの「life-threatening infections (命に関わる感染症)」を招く恐れがある。
 そのとき、侵入したMRSAは、本来、患者に付着していたものか、あるいは院内感染によって、それとも手術中に患者に侵入したものなのか。これを明確に判定することは難しいとされて来た。

 「The Wellcome Trust Sanger Institute」の Sharon Peacock 教授らの研究グループは、細菌 MRSAの「genetic sleuthing (ゲノム解析)」で、MRSAには 173種のタイプがあることを突き止めた。
 Peacock 教授らは、England 東部の 3 病院、7 医院から収集した「MRSA-positive patients(MRSA保菌患者)」1,465名の MRSA サンプルの「genome (全遺伝子情報, ゲノム)を「DNA sequencing (DNA塩基配列決定法)」によって解析し、その結果を医学雑誌「Science Translational Medicine」に発表した。

 この研究によって、個々の MRSAの「genetic genealogy (遺伝的系譜)」も、MRSAの感染経路も明確になるという。
 また、定期的な鼻腔内検査で、そこに付着した MRSAの DNA解析を実施すれば、細菌の「出芽 (bud)」段階で医療措置が可能となり、特定の耐性菌 MRSAに対する「more targeted, efficient and effective (もっと的を絞った、効率的かつ効果的)」な「infection control (感染対策)」にもつながる。

"Huge advances in DNA sequencing mean the whole genome of a bacterium can be worked out in a day for around £120."

[ DNA塩基配列決定法の飛躍的な進歩によって、およそ £120 (約18,000円) も掛ければ、細菌の全遺伝子情報を1日で解析できる。]

 これで、医者は、MRSA 院内感染を、患者のせいにすることはできなくなった。

 なお、この一編をまとめるに当たって、以下の記事も参考にした。

  CIDRAP, University of Minnesota
  "Genomic data may help reveal hidden MRSA outbreaks"

                   (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com