ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

「魔法のキノコ」:うつ病の苦しみが消えた! (BBC-Health, October 14, 2017)

https://ichef-1.bbci.co.uk/news/872/cpsprodpb/C300/production/_98302994_gettyimages-145912413.jpg

 子犬から逃げて野に走り出たアリス。そこで見つけたのは大きなキノコ (a large mushroom)。キノコの笠の上には、腕を組み、長い水キセル (a long hookah)を口にくわえた「大きな青い毛虫 (a large blue caterpillar)」が座っている。そして、こんな謎めいたことを言って、草むらの中にその姿を消してしまう。
 
"Other side will make you grow taller, and the other side will make you grow shorter."
[ 片方が背を伸ばし、反対側は背を縮める。]
 
 それは何のことと、アリスが困っていると、「Of the mushroom (キノコのことだよ)」と、あの毛虫の声がして、それっきり。毛虫が座っていたのは「magic mushroom (魔法のキノコ)」だった。
これは、Lewis Carroll の「Alice's Adventures in Wonderlands (不思議の国のアリス)」の中の「キノコのはなし」。

 さて、今度は学術的な話。
 実際の「magic mushroom (マジック・マッシュルーム)」には、「psychedelic ingredient psilocybin (幻覚成分サイロシビン)」が含まれていて、食べると幻覚作用を引き起こす。世界では 200を越える種が存在するとされ、シビレタケ、ヒカゲタケ (ワライタケ) もその仲間だ。日本では法規制の対象になっている。

 ところが、London大学「Imperial College London」の Dr Robin Carhart-Harrisらの研究チームは、このpsilocybin (サイロシビン)が「untreatable depression (治療不可能なうつ病)」の治療に有効であることを確認し、その詳細を医学雑誌「Scientific Reports」に発表した。

 うつ病に苦しむ患者19名に、1回だけ (a single dose)「psilocybin (サイロシビン)」」を投与したところ、約半数の患者に治療効果が認められ、その薬効は 5週間続いたという。回復した患者は、口々に、頭が「reset (リセットされた)」、「cleaned-up (スッキリした)」などと言う。
 どうやら、「psilocybin (サイロシビン)」には、「lubricant for the mind (心の潤滑剤)」として働き、「depressive symptoms (うつの症状)」を鎮める効果があるようだ。

 Dr Carhart-Harris らは、患者の治療前と治療後の脳内を fMRI (機能的磁気共鳴画像映像法) で調べた。その結果、「psilocybin (サイロシビン)」は、恐怖・不安などの情動反応に関わる「amygdala (扁桃体) と、脳内神経活動の同調を司る「default-mode network (デフォルト・ネットワーク)」のいずれにも作用し、脳の興奮を抑えて安定した状態にすることが分かった。

 ただし、このキノコ成分を医療現場の治療に役立てるためには、さらに大規模な研究が必要とされる。もちろん、「self-medication (自己治療)」は絶対にしないこと。

 なお、キノコの大好きな方には、次の 2冊がお勧め。

・小川 眞: キノコの教え、岩波新書、2012
・PIE BOOKS: きのこ絵、パイ インターナショナル、2012
 
                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com