不便に「利」あり!:怠けものに怪我・病あり! (BBC-Health, September 29, 2017)
「昔ばなし」には残酷で、理不尽で、腑に落ちないものもある。「三年寝太郎」がその一つだ。夫に先立たれた貧しい百姓の女が、朝から晩まで野良仕事に精を出して息子を育てる。しかし、当の息子は、ぐうたらで、大人になっても怠け癖が付いて、寝ているだけ。やがて、思いついたように動き出す。鎮守の神のお告げと嘘をつき、村の長者をだまして、まんまと、長者の器量良しの娘と結婚するという話。
たとえ、結婚して気を取り直し、まじめに野良仕事を始めようとしても、鍬(くわ)も鋤(すき)も、そんなに易々と使いこなせるものではない。第一、寝太郎の筋力は衰え、体も心もボロボロになっているはずだ。
寝太郎は夜昼寝ていても、母親が面倒を見て、三食を食わせてくれた。そんなことが、昔の人にとって憧 (あこが) れだったのだろうか。
現在、寝太郎と、ほぼ同じように、体を動かさなくとも、生活できるようになった。食材、弁当に衣類をはじめ、ほとんど何でもインターネットで発注し、戸口まで配達してもらうことができる。家庭の掃除までロボットがやってくれる。人間は、すっかり便利さに慣れ、労を惜しむ怠け者になってしまった。少しでも楽になろう、体を動かさないで済まそうと気張り続ける人を、「厄病神」が放って置かない。
1 日の大半をスマートフォンとの「睨めっこ」に費やし、好きなものだけを飲み食いしていては、血圧が上がり、体重が増えて、体がますます重くなるばかりだ。20代を過ぎると、視力、聴力、脚力に陰りが見え始め、そこに筋力を維持する運動が欠けると、体の衰えは加速し、それがもとで怪我や病気をすることも多くなる。
とくに高齢者の転倒は危険だ。イギリスでは数百万人の高齢者に、転倒して怪我をするリスクがあるという。もちろん最大の原因は筋力の衰えにある。
"Falls among the elderly cause the vast majority of the hip fractures and cost the NHS around £1bn each year."
[ (イギリスでは) 高齢者の股関節骨折のほとんどは、転んで起きたもの。その治療に要する NHS医療費は毎年 £1bn (約1,500億円) にのぼる。]
ところが、65際以上の高齢者 (2,000人以上) を対象にした調査によると、25%の高齢者はまったく、筋力強化の運動をしていなかった。また、5人に 1人は、その運動方法を知らず、さらに、ほぼ同数の人は、知りたいとも思わないと回答した。
なお、「NHS Choices」が推奨する「Exercise to strengthen muscles (筋力強化運動)」は以下のとおり。
・lift weights.
・work with resistance bands.
・do exercises that uses your own body weight, such as push-ups and sit-ups.
・heavy gardening, such as digging and shovelling.
・carrying shopping
・yoga
・バーベル (barbells) 挙げ
・エクササイズ・バンドでトレーニング
・体重を利用した腕立て伏せ、腹筋運動など
・ガーデニングの力仕事。地面の穴掘り、ショベルワークなど。
・買い物を手に持って運ぶ
・ヨガ
(写真は添付のBBC Newsから引用。)