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アフリカの民族の大移動:難民・移民は8,000年前にもあった! (BBC-Science & Environment, September 21, 2017)

https://ichef-1.bbci.co.uk/news/768/cpsprodpb/E944/production/_97961795_dji_0334creditjacobdavis.jpg

 中近東のシリア・レバノンやアフリカ北東部の国々からヨーロッパに向かう難民・移民の流れは、今や、誰にも止められない状況となった。
 では、過去に、このような民族の移動は、なかったのか。

 「Harvard Medical School (ハーバード大学医学大学院)」の Dr Pontus Skoglundらの研究グループは、アフリカ大陸で出土した「ancient remains (古代人の遺骨)」の「genomes (ゲノム)」を解析した。調査の対象になった古代人は 16人 (individuals)。いずれも、今から 8,000~1,000年前に住んでいたと思われるアフリカ人。

 その解析結果によると、はるか昔の、およそ 1万年前のアフリカでは、「indigenous people (先住民)」の南アフリカ系民族が大陸一帯に住み着いていた。 8,100~1,400年前に、アフリカ東海岸沿いの Malawi (マラウイ)、Tanzania (タンザニア) に住んでいた「狩猟採集民 (hunter-gatherers)」にも、南アフリカ系の民族の遺伝子が認められるという。

 その後、アフリカ西部に住み着いた農民 (farmers) と狩猟採集民との間に、大規模な遺伝子の混合 (mixing) が起こる。8,000~4,000年前のことだ。この2つの民族の混合が平和的なものであったのか、あるいは戦いの結果だったのかは、不明。

 さらに興味深いことに、Middle East (中東) の民がアフリカ大陸に流れ込んだ形跡も見つかった。Tanzania で発見された 3,100年前の「livestock herder (牧畜民)」の遺伝子の約 38%は、「Levant region (レバント地域)」いわゆる現在のシリア、レバノン、トルコを含む東部地中海沿岸地方の農民の遺伝子に一致した。

 これらの研究結果から、数千年の時間を掛けてアフリカ西部・中東の農民は、アフリカ全域に移動を続け、大陸の東部・南部にまで押し寄せたことが分かる。

 また、民族が大陸を移動する過程で、「environmental pressure (環境変化プレッシャ)」によって「adaptive evolution (適応進化)」が起こり、「taste receptors(味覚受容体)」の遺伝子が変化していた。これは、有毒な植物 (poisonous plants) を感知、判定するために、人間にとって極めて重要な遺伝子だ。

 この 5,6年前に始まった中東・アフリカ系の難民・移民は、政情の混乱のさなか、安全を求めて、やみくもにヨーロッパに向かう。古代のアフリカ系民族の移動と大きく違う点は、そこに、人の不安・弱みに付け込んで暗躍し、数十億、数百億円あるいはその 10倍から 100倍とも言われる「難民ビジネス」が存在することだ。 
                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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