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コウモリの超音波探知が通じないステルス:これで落命 後絶たず! (BBC-Science & Environment, September 8, 2017)

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 放課後の閉鎖的なクラブ活動や熟もなければ、テレビの前あるいは机にかじり付くようなこともなかった。
 4、50年前の、のどかな片田舎では、太陽が西の空を紅く染めて地平線に落ち、辺りが暗くなりかけても、川岸、橋の上では、たくさんの子どもたちが、家路につかずに遊んでいた。星がチラチラと輝き始めた薄暗い空は、せわしげに飛び交う蝙蝠(コウモリ)でいっぱいだった。
 この「夕暮れ時 (at twilight)」を昔の人は「蝙蝠に山椒食わせる時分」と言った。何とも情緒溢れる言い回しだ。夕暮れ時も外で遊ぶ子どもたちが、コウモリを見て、「こうもり来い、山椒食わしょ、柳の下で水飲ましょ」と節を付けて歌ったことに由来する。

 ちなみに、この蝙蝠 (コウモリ)。平安中期の書「本草和名」には「加波保利」と記されていて、1千年前の日本人は、コウモリのことを「かはほり」と呼んだことがわかる。

 ところが、ヨーロッパ人の、「bats (コウモリ) 」に対するイメージは、少し違う。
 暗闇の洞窟に住み、暗がりに紛れて空を飛ぶ、鳥かネズミか得体の知れない、この動物は、悪魔か魔女、vampires (吸血鬼)につながる「sinister association (不吉な連想)」をキリスト教徒に抱かせた。

"Bats makes up one fifth of all land mammals."
"They are among the most endangered of the world's animal, because much of their habitat has been destroyed."
"As important pollinator for many plants, and key predators of insects, their loss has serious consequences for the planet."

[ コウモリの数は陸上に住む哺乳類全体の 1/5 を占める。]
[ ただし、ほとんどの生息地が破壊されたため、絶滅危惧種になっている種もいる。]
[ 多くの植物にとって大切な受粉の媒介の役目を担う他に、夜行性の昆虫(蚊や蛾など)も食べてくれるため、コウモリが地上から姿を消すと、地球上の生態系に深刻な影響をもたらすことになる。

"Bats have a remarkable ability to fly at high speeds in the dark avoiding natural hazards such as tree."
"Bats predominantly rely on their echolocation system to forage, orientate, and navigate."
[ コウモリには、暗闇でも木々などの自然障害物を避けて、高速で飛べる驚くべき能力がある。]
[ コウモリは主として (自分の発する超音波の)音響定位システムに頼りなから、餌を探し、方向を見極め、飛行を続けている。]

 しかし、このコウモリにとって「stealth (ステルス)」となり、「blind spots (感知不可能なスポット)」が現われた。現代建築 (modern buildings) で多用され始めた「large expanses of glass or mirrored (一面にガラスやミラーを張り付けたビルの壁)」だ。表面が滑らかで垂直な壁は、コウモリを錯覚させる。そこが、あたかも「何もない飛行空間 (clear flight paths)」であるかのように騙された (tricked) コウモリは、ビルに向かって突進してしまうのだ。

 これで、「なぜ、ガラス面で覆われたビルの近くで、怪我をしたコウモリやその死体が見つかるのか」について説明できるという。
 ドイツ「The Max Planck Institute for Ornithology (マックス・プランク鳥類研究所)」の Dr Stefan Grief らの研究グループは、「Greater mouse-eared bats (オオホオヒゲコウモリ[学術名 Myotis myotis])」を「dark flight tunnels (暗い飛翔トンネル)」に放した実験で、この事実を確認し、科学雑誌「Science」に発表した。


                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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