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アリスの不思議の国のドードー鳥:その生態と変身術! (BBC-Science & Environment, August 24, 2017)

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 Lewis Carroll (ルイス・キャロル)の代表作「Alice's Adventures in Wonderland (不思議の国のアリス)」では、なぞの鳥「dodo」が登場する。
 そのシーンは、アリスがネズミと一緒に岸にたどり着いたときだ。岸の上には、カササギ (Magpie) やアヒル (Duck)、フクロー (Owl)、オーム (Lorry)、ドードー (Dodo)たちが、羽をずぶ濡れにして立っていた。何とか、体を乾かそうと、みんなで知恵を絞る。
 そこで、Dodoがこんなふうに言う。

'What I was going to say', said the Dodo in an offended tone, 'was that the best thing to get us dry would be a Caucus-race.'
[ 『儂(わし)が言わんとしたことはだな』、とドードーが怒ったように言った。『みんなが体を乾かすのには、「コーカス・レース」が一番ということよ』]

 「dodo」は、Portuguesea (ポルトガル語) の「doudo」に由来し、その意味は「simpleton (とんま)」。1507年、ポルトガル人がマダガスカル沖に浮かぶ「Mauritius (モーリシャス島)」に上陸したとき、その島は無人島であった。そこにはクチバシの大きな「flightless bird (飛べない鳥)」がいた。船乗りの航海誌には、この鳥の体全体が「black down (ブラック・ダウン)」でもあり、「curled plumes (曲がった大羽)」の姿でもあったと、「conflicting accounts (相反する矛盾した記載)」がある。
 このなぞは、何を意味するのか。

 Cape Town 大学の Dr Dephine Angst らの研究グループは、断片的ながらヨーロッパ各地の博物館に保管されているドードーの骨を分析し、絶滅したこの鳥の生態(ecology)に迫った。
 すると、ドードーのヒナ (chicks) は、8月に孵化すると大急ぎで成長していることが分かった。

"This would have given them a survival advantage when cyclones hit the island between November and March, leading to a scarcity of food."
"However, the birds probably took several years to reach sexual maturity, possibly because the adult birds lacked any natural predators."

[ その理由は、おそらく、11月から翌年の 3月に掛けて、島が何度もサイクロンに襲われ、餌が不足したためと考えられる。]
[ ところが、ドードーは成長しても繁殖成熟期に達するまでには 7年も掛かった。たぶん、島に天敵がいなかったためかも知れない。]

 また、ドードーの骨はミネラルが不足していた。このことは、繁殖期が過ぎると、古い痛んだ羽が抜け落ちたことを意味する。これによって、ドードーの羽が 3月に生え替わり、体全体が「fluffy grey plumage (フワフワした灰色の羽毛)」で覆われたことも説明できる。Dr Angst らの研究結果は「Scientific Reports」に発表された。

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 Dodo (ドードー)は「pigeon (ハト)」の仲間。「Mauritius (モーリシャス島)」で独自に進化した鳥だ。しかし、この鳥が最後に目撃されたのは 1662年。その後、二度と姿を見せることはなかった。

 日本の「鳥島(とりしま)」の「アホウドリ (short-tailed albatross)」と同じく、Dodoは敵を知らず、tame (穏やかな性格) であったため、容易に捕まえられて殺された。その上、「アホウ」、「とんま、まぬけ、のろま」の汚名まで着せられるとは、何とも「hapless bird (不運な鳥)」であった。

                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com