酢 (Vinegar) には酢酸 (acetic acid) が数%含まれている。これまで、工業的に酢酸をつくる方法は色々と開発されて来た。しかし、Harvard大学の Dr Kelsy Sakamoto らの研究グループは、「cyborg bacteria (サイボーグ・バクテリア)」を使った、まったく新たな製造法を開発した。
"Some bugs have a natural defence to cadmium, mercury or lead that lets them turn the heavy metal into a sulphide which the bacteria express as a tiny, crystal semiconductor on their surfaces."
[ ある種のバクテリアは、重金属Cd, Hg, Pbに対して自然防御能を持っていて、これらの金属元素を硫化物に変えてしまう。これは、バクテリア表面上に、ごく小さな半導体として析出する。]
Dr Sakamoto らは、このバクテリアの特徴を利用し、あるバクテリアの液体培養基(liquid broth) に、ほんのわずかのカドミウム溶液を加えて、太陽光に当てたところ、数日でバクテリアは「photosynthesis (光合成)」を始め、酢酸を作り出すことに成功した。
バクテリアの表面には沢山の「硫化カドミウムの結晶 (cadmium sulphide crystals)」が張り付いていて、太陽光の吸収効率を高めていたという。その結果、光合成の効率(efficiency)は、「green pigment chlorophyll (葉緑体色素クロロフィル)」に比べて6倍。
つまり、このサイボーグ・バグは、CO2 と水と太陽の光があれば、80%の効率で酢酸をつくり出すことが可能だ。酢酸からグリーンエネルギーの「ethanol (エタノール)」、「butanol (ブタノール)」やプラスチックをつくり出すことができるため、今後、この研究の応用が期待されている。
ただし、カドミウム Cd も硫化カドミウム CdS も人体には有毒。研究者らは、もっと安全な光吸収材 (more benign light absorbers) を探しているとか。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)