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グリーンランドの純白の肌にシミ・ソバカス:これで海面上昇? (BBC-Science & Environment, July 24, 2017)

https://ichef.bbci.co.uk/news/834/cpsprodpb/8094/production/_97061923_7b1b47b3-dc1b-47f0-837a-ae088a903cbd.jpg

 雪国の春は遅い。このため、昔から、日差しに温かみが増す早春の頃になると、農家では田んぼに降り積もった雪を一刻でも早く溶かそうと、籾殻などを焼いた炭や灰、煤 (すす) などを、その真っ白な雪の上に撒いた。
 すると、お日様の光がこれによく吸収されて、キラキラと輝いていた真白い雪の表面は、シミ・ソバカスが一挙に増えて薄汚れ、なぜか、大事なものが失われていくような、切ない気分になった。

 今、雪と氷に覆われた北の大地グリーンランドに、そのようなシミ(blemishes)、ソバカス (freckles) に加えてアバタ (pockmarks) まで現われ、glaciologists (氷河学者)を慌てさせている。 
 その理由は、田んぼの雪の上の炭などと同じ。グリーンランドの氷床(ice sheet)が急速に溶け始めたのだ。

"Currently the Greenland ice sheet is adding up to 1mm a year to the rise in the global average level of the oceans.
"It is the largest mass of ice in the northern hemisphere covering an area about seven times of the size of the United Kingdom and reaching up to 3km (2 miles) in thickness."
"This means that the average sea level would rise around the world by about seven metres, more than 20ft, if it all melted."

[ グリーンランドの氷床が溶け出して、現在、世界の平均海水面は、毎年 1mmずつ上昇している。]
[ 北半球にあって、イギリスのおよそ7倍の面積をカバーする巨大な大地の氷の塊は、厚さが 3km (2マイル) に及ぶ。]
[ したがって、このグリーンランドの氷が全て溶けると、世界の海水面は約 7m上昇することになる。]

https://ichef.bbci.co.uk/news/736/cpsprodpb/A844/production/_97067034_algaewidegood.jpg

 では、誰が、グリーンランドに黒い炭や煤 (soot) を撒いたのか。
犯人は「algae (藻類)」だった。グリーンランドで初めて algae が発見されたのは1世紀以上も前のこと。しかし、これまで、その影響はほとんど無視されて来た。

 国連の気候パネル機関である「IPCC (気候変動に関わる政府間パネル)」が2013年に発表した最新版の気候評価報告書によると、今世紀末に海水面は、最悪のシナリオの場合、98cm上昇するとされる。しかし、その計算では、algae によって溶け出す氷の影響が、評価されていないという。

 グリーンランドの真っ白い氷床には、algae (藻類), bacteria (バクテリア), minerals (鉱物) が混じり合ってできた黒い粒子「cyroconite (クリコナイト)」の層さえ確認されるようになった。なお、algae の太陽光 (solar radiation) の反射率は約 35%。

 さらに悪いことに、Mr Stefan Hofer らの研究によると、過去 20年間、グリーンランドの夏は、晴れが続くようになった。太陽光を遮る雲の量は 15%も減少したのだ。

 これで、冬にグリーンランドに降り積もる雪の量と、夏に溶け出す氷の量のバランスは完全に崩れてしまった。
 グリーンランドの白い大地に、煤けた黒い汚点が広がって、その純白の輝きは失われ、雪も氷もジワジワと溶け出した。
 
 それでも人類のほとんどは、自分が生きている間は大丈夫と、高を括っているとか。

              (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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