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噛みつくアリだって役にたつ?:羽アリは天気のバロメータ! (BBC-Science & Environment, July 18, 2017)

https://ichef.bbci.co.uk/news/768/cpsprodpb/1596B/production/_96972488_z3450442-black_garden_ant-spl.jpg

 とんでもないほど無責任でルーズな貨物検査が、とんでもない災いをもたらした。コンテナ貨物船が寄港する港は、南米原産の「ヒアリ」またの名を「アカカミアリ(Red fire ants)」で大騒動だ。この外来種のアリは腹部に毒針を持っていて、スズメバチのように人を攻撃するから始末が悪い。
 そもそも、蟻 (ants) は 1億数千年前にスズメバチの祖先から分化したとされ、世界では、確認されているものだけで 1万を越える種が生息している。

 幸い、これまで日本の山野・庭先で生息して来たアリには、毒針がなかった。せいぜい、台所に執拗に現われる小さなヒメアリやガーデニングの敵クロヤマアリなどは、必死になったときに、咬みつくことはあっても、それで皮膚がかぶれるようなこともない。

 さて、そのアリは毎年、夏に羽アリとなって空に舞い、違うコロニーの相手を捜し求める。日本では、蒸し暑く、風のない日暮れどき、人目を避けるかのように地面の下や石の陰から沸き立つように現われ、空に飛び立つ。

 Gloucestershire 大学と「The Royal Society of Biology (英国王立生物学会)」の研究チームは、全国の「citizen science (市民科学)」メンバーに呼びかけて、2012 - 2014年の 3年間、イギリス全土における「羽アリの飛び立ち (flying ant emergence)」を調査した。
 羽アリがいつ、どこで目撃 (sightings)されたかを Internet か Smart Phones で知らせてもらい、そのデータを分析した。
 
 すると、これまで、メディアなどで取り上げられていた「flying ant day (全国一斉に飛び立つ羽アリディ)」なるものは、実は存在しないことが分かった。
 また、イギリスに生息するアリの約 90%は、学術名「Lasius niger」、英語名「black pavement ant (トビイロケアリ)」であることも判明した。

 ただし、羽アリは、天気のバロメータとして利用できるかも知れないという。

"It seems that ants are able to judge if the weather is likely to get better or deteriorate. If the wether is going to improve then they will wait, but if it is going to deteriorate then as long as the temperature and wind speed are above their critical thresholds they will fly."

[ アリには、天気が回復に向かうか、もっと悪化するかのかを見極める能力がありそうだ。天気が回復に向かっているとき、羽アリは(さらに好条件になることを見越して)地面の下でじっと時を待ち、天気が崩れるときは、気温と風の条件が「しきい値」以上であれば、さっさと飛び立ってしまう。]

 南米原産の「ヒアリ」とて、その能力は同じだろう。こんな相手を敵に回すと、オーストラリアの二の舞になる。大変なツケを払う破目に陥るだろう。

              (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com